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しおりを挟む「なぁ、アキはそれで良いわけ?」
「何が?」
床には丸めたティッシュ、ゴミ箱にもてんこ盛りになってこぼれ落ちている。
ティッシュの中身は真秋が吐き出したザーメンだ。
時間がたったものはうっすら黄色く沁みていて嫌な感じがする。
真秋は俺のパートナーで、同棲相手である。
歳は28歳、建築事務所で働いており、もう少し実務を経験してから独立したいと夢を語っている。
そんな真秋は俺よりも勤務時間に融通が利くため、家事のほとんどを担ってくれている。
料理、掃除、洗濯、俺が帰れば夕飯が用意してあるし、出勤する時には弁当を持たせてくれる。
いわゆるスパダリとでも言うのか、抜け目が無く良い男だ。
そんなスパダリに尽くされる俺は夏李・27歳。
普通のサラリーマンだ。
特に秀でたところも無い、普通の男である。
俺は学生時代からどうも女性に興味が持てず、「良いな」とドキドキする対象は男性だった。
かと言って自身が女寄りだとは感じたことが無い。
俺は男として男が好きなんだな、それを自覚すると生きやすくなった。
とは言え大っぴらに宣言もできず、ゲイの溜まり場みたいな所に行っては恋愛っぽいものを試したりした。
真秋と出逢ったのはそこに通うのを辞めようかと思い出していた時だった。
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