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しおりを挟む「(言葉が強かったかな)」
青天の霹靂の如くショックを受ける真綾のシルエットに、和樹は「言い過ぎたかな」と後悔した。
歳上男性からの高圧的な態度にトラウマが出来ていたら酷いことだ。
あくまで平和的に解決したいので、和樹は
「お、俺のやきもちだ、分かるだろ」
と照れを見せる。
実際、恋人の持ち物に難癖を付けるのが人間として小さいと感じたし、若ぶっているようで恥ずかしかった。
「…和樹くん」
「あの、激怒してる訳じゃないんだよ。でも笑える話でもなくて」
「……」
「あいつ、相当ヤバくないか?うちから帰る時にノーヘルだったし狭い路地で結構飛ばしてたし。俺にも終始タメ口だったし…なんか非常識さがずば抜けてんだよ。そんな奴と仲良くしてたって、真綾のことも大丈夫かって思うわ」
「そんな…」
「未成熟な時期に惚れて盲目になってたんだろうけど、今もお守りみたいにあいつのバイク乗ってるって…ちょっと信じらんねぇな」
これは別れ話なのか、取り繕おうにも術の無い真綾は呆然と目を見開く。
そしてその目からは数秒の後だぶだぶと涙が流れて、シャツを濡らした。
「…真綾、あ、泣いてんの?ごめん、暗くて見えなかった、これ、ティッシュ、」
「やだ、和樹くんと、別れたくない、バイク、棄てるから、離れたくない、」
ズビズビ鼻を鳴らして、真綾はティッシュを渡す和樹の手を握り締める。
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