跳ね馬の恩返し—元ヤン娘は商店街の華になる

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　それから、和樹は真綾をきちんと恋人として扱うようにした。

　取ってつけたような間柄ではあるが、昔の見合い結婚も当人の意思を無視してセッティングされるケースがあったと聞く。

　スペックだけで番つがいにされるなんて動物じゃあるまいし、しかしそれでも相手を受け入れて添い遂げる人も多かった。

　現代においては結婚が全てではないし、女性の働き口も豊富なのだから男性に頼らなくとも生きていける。

　それなのに真綾は和樹と萩原家を気に入り懐いてくれた、和樹はそれが喜ばしいことだと感じた。

　精肉店の経営者の座を狙っているということもあるまい、玉の輿に乗りたいならもっと大きな企業の御曹司を探せば良い。

　小娘の狭い世界では萩原家が限界だったのかもしれないが、少なくとも真綾は和樹に惚れて正攻法でアタックしてくれたのだ。

　仕事前や後に店先に顔を出しては笑顔をくれる、真綾のことを和樹はすんなり好きになろうとしていた。


　あの告白からひと月、和樹は真綾をデートに誘った。