自己評価低めの彼女は俺の自信を爆上げしてくれる。

茜琉ぴーたん

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9月(最終章)

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 千早はある程度知佳の性格を伝えていてくれたのだろう。

 皆気持ちゆっくり分かりやすいように話しかけてくれて、食事が始まると彼らから威圧感はほとんど感じなかった。

 しかし家族同士の会話になると喋り言葉の方言度が数ランク上がってスピードも上がる、柄が悪いと言えばそれまでだが千早もそこに混じってラリーしているのを見れば知佳はいつもとのギャップにワクワクする。


「チカちゃん、方言聞けて嬉しいねやろ」

「あら、せやの?大阪弁好き?」

 恋人と同じ顔が一斉にこちらを見るのももはや眼福がんぷく、知佳は

「はい、ご当地の言葉をネイティブスピーカーから聞くのが好きで…萌えます」

と口元を手で隠しつつ答えた。

「萌え?変わってんねぇ、あはは!」

「変わってて可愛いやろ……せや、俺ら、近いうちに結婚するかもしれん。未定やけど、この子と一緒になるから。それはもう決まりやから…向こうの親御さんにも挨拶して来てん、了承してもうてる。みんなで仲良うしたってや」

「おー」

 宣言に一家はどよめいて、恋人改め婚約者となった知佳はそれはそれは丁重に扱われ祝福された。





 食事はつつが無く済み、千早と知佳はまことに短時間ではあるが千早家を後にした。


 そして駅前のビジネスホテルのツインを取り一戦交えて、慌ただしかった千早家訪問を振り返る。


「……濃い1日でしたね」

「すまんね、しつけもなってへん家族で」

「いえ…皆さん同じ顔で…諒介さんのバージョン違いを見れたみたいな…お得な気分でした」

「なんそれ…てかよう考えたら、うちも容姿けなしたりしてたな。チカちゃんのオカアサンのこと悪う言われへん…嫌な感じせぇへんかった?」

「全然…温かくて楽しいご家族でした」

 至福そうにはにかむ知佳を見れば、千早は

「俺もあんな…明るい楽しい家を作りたい」

と素肌の頬にキスをして、

「はい、」

と返りがあればその恵体に馬乗りになる。


「チカちゃん、もう1戦お願いよ…次は裸で」

「……はい」


 絨毯じゅうたんの床に散らばるのはワンピースとスーツ、二人の抜け殻は夜が明けてもそのままで…チェックアウト寸前にようやく丸めて鞄へと仕舞われた。



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