自己評価低めの彼女は俺の自信を爆上げしてくれる。

茜琉ぴーたん

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5月

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 知佳が初めて男性と交際したのは高校1年生の頃、入学して数ヶ月でのこと。

 それは部活の先輩で、迫る文化祭の準備をするうちに距離が縮まり…というありきたりかつ少女漫画の王道的な成り行きであった。

 告白はメール、相手は受験生であまり時間は取れなかったが、塾の無い日に同じ方向に電車で帰るのがお決まりのデートのようなものだった。

 少しずつ物理的な距離も縮めていき交際3ヶ月の夏休みに初体験をすることになる。

「んー…」

なんでこんなことを思い出したかといえば、昨夜千早が軽くヤキモチを焼いて知佳の過去を根掘り葉掘り聞き出したためであった。

 正直言って憶えていない、そう何度も言ったが彼は食い下がって執念深く最後まで聞き出すことに成功する。





 昨夜、知佳の部屋。

「なぁチカちゃん、どんなシチュエーションでおフェラしてん?昔の男に」

「え、え~~…」

天上からするすると降りて来ていた気持ちが一気に下界まで堕ちてしまう、知佳はまだばくばくと高鳴っている胸を押さえて眉をしかめた。

 昔の話などしたって何のいいことも無いのに何故聞きたがるのか。

 とはいえきっと千早のことだから引かないだろう、知佳はどの辺りを掻い摘んで伝えるかストーリーを頭で組み立て始める。


「んー…カレの家、でした、ね、」

「場所な、夜?エッチ中?」

「いえ…昼間…で…エッチとかしてない、普通に勉強とか…お話してて…」

「ふーん?うわ、まさかAVみたいに机の下に潜り込んでしてん?」

「そういうのあるんですか?…知りませんししてませんけど…普通に床に座ってて…カレがベッドに腰かけましてね」

 情景も高校時代の初々しい様子も想像できる、しかし千早は

「待って、『カレ』って嫌やな、『奴』にしてくれる?ほんで?」

と水を差した。

「……奴が、『キスしよ』って言うから近くに寄ったんですけどね、立たせないようにするんです、カ…奴の足元に座らされてね、んでキスしてたんですよ、口にね、」

「ふん、ふん、」

「で……目、キスしてる時に目を閉じるでしょう?唇が離れたのにそのまま奴が手で目隠しをしましてね、んでその…脚の間に私の頭をこう…持って行って」

「うわ」

これも容易に想像できた…千早は顔も知らぬ元カレに殺意を抱く。

「口に触れる、みたいな…あは…胸糞悪いでしょう、気分悪くて…そこからケンカして…別れましたね」

「すんなり?」

「最初はすがって来られましたけど…まぁ…きっかけが人に話せるようなものではなかったのでね、あっさり終わりましたよ」

「ふーん……しんどかったね…その…おフェラって行為は知ってたん?当時のチカちゃんは」

「知…らなかったんですよ…エッチはしても、その…そこを舐めるとかいう想定が無いものですから…だからその…汚いっていうのが…一番の印象ですね…」

 フェラチオなんて強制されてするものではない。

 10代の知佳がその行為を知っていたとしてもそれは築き上げた信頼を土台から崩すようなやり方だったことだろう。

「満足されました?」

「ん…ごめん…嫌なこと聞いて」

「いえいえ」

「…ほな、それが最初で最後?」

謝っておきながら千早の好奇心は止まらない。

「そう…ですね、大学時代の人はそういうことはさせなかったので」

「そーかー……うん、分かった」

「……キレイに…してくださるなら…ちょっとなら…」

排泄器官に口を触れるなんてことがそもそも汚いのだ、知佳は昔のことを僅かに思い出し唇をきゅっとつぐんだ。

「うん…ほなまた今度、風呂上がりにな」

「……はい…」

「嘘よ、チカちゃんの気が向いた時にな」

「…はい」

近々その日が来る…改まって考えると嫌なのだが、セックス最中は何でもできる・してあげたいと脳がバグってしまうので注意である。
 
 この男の体の全てが、食べてしまいたいくらいに愛しくて堪らなくなる瞬間が確かにあるのだ。

 これが比喩ではなく本当に口を付けたくなる衝動で、知佳は「なんていやらしいことを」と後になって反省している。
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