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4月
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しおりを挟む「そりゃ分かってるよ…販売員としてはピカイチやもん…うん、確かに言葉だけで説明されても納得せずに引き裂いてたかもしれんな……今日見て分かったわ。あれは恋愛対象になれへん」
「でしょ」
「うん…よほどのマゾか言い返す気概のある女か…松井くんがひれ伏すくらいの女やないと無理やな」
「ね、」
本当のところ、知佳は松井が最近ご執心の相手が誰なのかは知っている。
それはこのアパートに住む女上司で、彼女が怪我した際に松井が付き添ったり、乱闘していた時にも彼女が止めに入ったらしい情報を耳にしていた。
彼女の部屋へ入って行く松井を目撃したこともあるし、最近の彼の柔らかさは彼女による影響なのでは?とひっそり考えている。
いい話になればいいな、そう思うからこそ今日の松井の荒ぶりも多めに見てやるつもりだったのだ。
「んー…でもな、ほんまに…その…精神がな、不愉快やと思うたらすぐに離れてな。仕事上と隣人としての付き合いならええわ…うん、よぉ分かった」
「よかった」
「……でもあれやな…呼び捨てにしてんのは腹立ったな…俺でもエッチ中しか呼ばへんのに」
「松井さんは下の者にさん付けしたくないプライドを持ってるんですよ。千早さんは普段も呼んでくださっていいですよ」
「んー…普段は『チカちゃん』やねんな…それがこう…俺のスイッチが入ったら『チカ』になんねんなぁ…うん…」
額、目尻、頬…顔同士の接地面を減らさずに千早は唇を知佳へ落とし、腕は緩めずに彼女の視界へサディスティックな笑顔を収めさせる。
「…千早さ、」
「諒介って…ぼちぼち呼んでくれへん?」
目を丸くした知佳がおずおずと
「………り、りょうすけ、さん…」
と囀れば、
「……燃えるね」
と男は腰を彼女のそれへと押しつけた。
「あ、千早さん、やだ、」
「せぇへん…でも押し付けるのは許して…もっと名前で呼んで、」
「ん♡諒介さん…生理…終わったら…また…うん…」
「うん…チカちゃん、俺は庶民的で、白いおかずを白い皿に盛ってまうチカちゃんが好きや。何の肉か分からんでええ、俺が実際に見聞きしてきた…このチカちゃんが好きや」
過ごした期間の長さではなく実感・体感した彼女の姿。
彼女を一番詳しく語れるのはきっと俺に違いない…千早は自信を持ってそう言える。
「はい…」
「顔も体も、髪の毛輪ゴムで留めたりすんのも…おっぱいもオ×コもケツも好きや」
「ばか」
「好きや、自信持ってくれ」
「はい、諒介さんに好かれてる自信はとても増してきました」
珍しい知佳の言葉と笑顔に千早はポッと熱くなり、
「はー……アカン、興奮してきた」
と体を回して彼女へ馬乗りになった。
「ぎゃ」
「着衣ならイチャイチャやねんな、うん」
それは二人で決めた協定「セックスをしない時は着衣でのイチャつきまで」。
てっきりキスハグまでだと思っていた知佳は、膝立ち騎乗して社会の窓を開ける男の笑顔を見て脚をバタつかせる。
「千早さんッ」
「諒介、な、勝手にヌくから、おっぱい貸してな」
「ひい…」
着衣とは何なのか…ワイシャツのボタンを外してブラジャーをめくって、知佳は逆光の恋人の顔を下唇を噛んで睨んだ。
「可愛いおっぱいやな、うん、捗るわ」
「はかど…あ、」
乳房をぽよぽよと揺らしながら自慰に励む恋人の姿を見上げて、知佳はふと昨年の事を思い出す。
「千早さん、出会った頃にね、ギャル仮装の写真あげたじゃないですか、通信で」
「うん、」
「その去り際にね、『捗るわ』って言ったの…覚えてます?」
それは昨年10月の二人が出会って間もない頃のこと。
ギャル写真をせびる千早へ知佳が「好きなのをどうぞ」とサービスした時のことであった。
「あー、言うたね、うん、」
「あのー、あれ、どういうつもりだったんですか?」
「ん?分からへん?」
「いや、あの頃から?」
「そりゃそうよ、チカちゃんに一目惚れでムラタ来たんやもん、チカちゃんのギャル写真で何回ヌいたか♡ん、ん♡」
千早はその写真も思い出したのかニヤァと笑って一層ソレを滾らせて、先端をぐりぐりとこねくり回しては感触を愉しんでいる。
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