上 下
38 / 85
4月

37

しおりを挟む

「そりゃ分かってるよ…販売員としてはピカイチやもん…うん、確かに言葉だけで説明されても納得せずに引き裂いてたかもしれんな……今日見て分かったわ。あれは恋愛対象になれへん」

「でしょ」

「うん…よほどのマゾか言い返す気概のある女か…松井くんがひれ伏すくらいの女やないと無理やな」

「ね、」

 本当のところ、知佳は松井が最近ご執心の相手が誰なのかは知っている。

 それはこのアパートに住む女上司で、彼女が怪我した際に松井が付き添ったり、乱闘していた時にも彼女が止めに入ったらしい情報を耳にしていた。

 彼女の部屋へ入って行く松井を目撃したこともあるし、最近の彼の柔らかさは彼女による影響なのでは?とひっそり考えている。

 いい話になればいいな、そう思うからこそ今日の松井の荒ぶりも多めに見てやるつもりだったのだ。


「んー…でもな、ほんまに…その…精神がな、不愉快やと思うたらすぐに離れてな。仕事上と隣人としての付き合いならええわ…うん、よぉ分かった」

「よかった」

「……でもあれやな…呼び捨てにしてんのは腹立ったな…俺でもエッチ中しか呼ばへんのに」

「松井さんは下の者にさん付けしたくないプライドを持ってるんですよ。千早さんは普段も呼んでくださっていいですよ」

「んー…普段は『チカちゃん』やねんな…それがこう…俺のスイッチが入ったら『チカ』になんねんなぁ…うん…」

額、目尻、頬…顔同士の接地面を減らさずに千早は唇を知佳へ落とし、腕は緩めずに彼女の視界へサディスティックな笑顔を収めさせる。

「…千早さ、」

諒介りょうすけって…ぼちぼち呼んでくれへん?」

 目を丸くした知佳がおずおずと

「………り、りょうすけ、さん…」

さえずれば、

「……燃えるね」

と男は腰を彼女のそれへと押しつけた。

「あ、千早さん、やだ、」

「せぇへん…でも押し付けるのは許して…もっと名前で呼んで、」

「ん♡諒介さん…生理…終わったら…また…うん…」

「うん…チカちゃん、俺は庶民的で、白いおかずを白い皿に盛ってまうチカちゃんが好きや。何の肉か分からんでええ、俺が実際に見聞きしてきた…このチカちゃんが好きや」

過ごした期間の長さではなく実感・体感した彼女の姿。

 彼女を一番詳しく語れるのはきっと俺に違いない…千早は自信を持ってそう言える。

「はい…」

「顔も体も、髪の毛輪ゴムで留めたりすんのも…おっぱいもオ×コもケツも好きや」

「ばか」

「好きや、自信持ってくれ」

「はい、諒介さんに好かれてる自信はとても増してきました」

 珍しい知佳の言葉と笑顔に千早はポッと熱くなり、

「はー……アカン、興奮してきた」

と体を回して彼女へ馬乗りになった。

「ぎゃ」

「着衣ならイチャイチャやねんな、うん」

 それは二人で決めた協定「セックスをしない時は着衣でのイチャつきまで」。

 てっきりキスハグまでだと思っていた知佳は、膝立ち騎乗して社会の窓を開ける男の笑顔を見て脚をバタつかせる。

「千早さんッ」

「諒介、な、勝手にヌくから、おっぱい貸してな」

「ひい…」

着衣とは何なのか…ワイシャツのボタンを外してブラジャーをめくって、知佳は逆光の恋人の顔を下唇を噛んで睨んだ。

「可愛いおっぱいやな、うん、はかどるわ」

「はかど…あ、」

乳房をぽよぽよと揺らしながら自慰に励む恋人の姿を見上げて、知佳はふと昨年の事を思い出す。

「千早さん、出会った頃にね、ギャル仮装の写真あげたじゃないですか、通信で」

「うん、」

「その去り際にね、『捗るわ』って言ったの…覚えてます?」

 それは昨年10月の二人が出会って間もない頃のこと。

 ギャル写真をせびる千早へ知佳が「好きなのをどうぞ」とサービスした時のことであった。

「あー、言うたね、うん、」

「あのー、あれ、どういうつもりだったんですか?」

「ん?分からへん?」

「いや、あの頃から?」

「そりゃそうよ、チカちゃんに一目惚れでムラタ来たんやもん、チカちゃんのギャル写真で何回ヌいたか♡ん、ん♡」

千早はその写真も思い出したのかニヤァと笑って一層ソレをたぎらせて、先端をぐりぐりとこねくり回しては感触を愉しんでいる。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

憧れの先輩とイケナイ状況に!?

暗黒神ゼブラ
恋愛
今日私は憧れの先輩とご飯を食べに行くことになっちゃった!?

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

処理中です...