自己評価低めの彼女は俺の自信を爆上げしてくれる。

茜琉ぴーたん

文字の大きさ
上 下
3 / 85
3月

2

しおりを挟む

「ストレートに『太ってる』って言われるよりはマシ…、骨格はどうにもなんないし…そこをいじるのはナンセンスですよね」

「しやで…チカちゃんは適度なムチムチ感がええんや」

「ムチムチって…そんなに?」

ナイスバディとは言い難いが見苦しくはないはずと思っていた知佳は不本意な称し方をされていささか表情が険しくなる。

 そんな彼女が運んで来たマグカップを千早は受け取り、

「ちゃう、褒めてんねん、ガリガリよりワシは好き、」

と弁明に必死になった。

「…人を褒めるときにその他をけなすのは良くない」

「へ、しやったらなんて?」

「だから…『私が』を強調すればいいじゃないですか」

知佳は千早の隣へ腰を下ろし、リモコンをいじって朝の日課であるテレビ番組表チェックを始める。

 録画するかリアルタイムで視聴するか、日々の娯楽の一端を担うバラエティ番組は必ずチェックするようにしているのだ。

「ほー、」

 ポチポチとボタンを押す知佳の横顔を見遣って千早は

「チカちゃんのおっぱいが好き。チカちゃんの太ももが好き。…こういうこと?」

とお伺いを立てれば、

「そうだけどなんか嫌…」

と彼女は男へ向き直って眉をしかめた。

「ひひっ…まぁそう言わんと、ん♡」

千早は知佳の肩へ腕を回して体を引き寄せ、慣れた様子で口付ける。

 手を使わず顔をグイグイと迫らせて唇を捕まえる、知佳が俯こうがそっぽを向こうが潜って回り込んで獲物を仕留める。

 彼女は本人には言えないが、千早を蛇の様だと思ってしまうことがなかなかにあった。


「千早さん、なんか……オスみが増してる…」

「オスミ?男っぽいってこと?そらオトコやし…自信ついたし?…何でやと思う?何でって聞いてみて?」

「………なんで?」

そのふざけて笑う口元も好き、目も好き。

 反対に「むぅ」と口をへの字に曲げた知佳は、おそらく聞くまで引き下がらないだろう男へしぶしぶ問いかけてやった。

「知りたい?彼女抱いたったからよ、一人前よ、ひひ♡」

「あっそ…」

そんなことは知っている。

 千早は先日交際満3ヶ月を無事に迎え、公約通り知佳と初セックスを成し遂げたばかりなのである。



 その日は早番で仕事を終えた知佳の自宅で待ち合わせ、乗り合わせてホテルへ行くという遠足のような計画だった。

 翌日は揃って休日だしそれが良かろうと千早が言い出したのだ。

 彼の誘い文句は、

「初めてなんやから…ちゃんとしようや…ホテル探しとくから…」

で、どうやら日常と性的な空気を混在させたくないような意図があったらしい。

 だらだらセックスをして休日を過ごすのではなく、休む時は休む、遊ぶ時は遊ぶ、そういう雰囲気になったらガッツリと…が理想だそうだ。

 しかしキスハグは挨拶がわりだし下ネタは日頃から聞いているし、知佳はその彼の主張に「ふーん」としか返さなかった。

 かくして順調に二人は体を交えて親密度も増し、今日のようにお家デートになっても昼間の千早は無闇にさかったりはしないのだ。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

パート先の店長に

Rollman
恋愛
パート先の店長に。

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

ドSでキュートな後輩においしくいただかれちゃいました!?

春音優月
恋愛
いつも失敗ばかりの美優は、少し前まで同じ部署だった四つ年下のドSな後輩のことが苦手だった。いつも辛辣なことばかり言われるし、なんだか完璧過ぎて隙がないし、後輩なのに美優よりも早く出世しそうだったから。 しかし、そんなドSな後輩が美優の仕事を手伝うために自宅にくることになり、さらにはずっと好きだったと告白されて———。 美優は彼のことを恋愛対象として見たことは一度もなかったはずなのに、意外とキュートな一面のある後輩になんだか絆されてしまって……? 2021.08.13

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

一夏の性体験

風のように
恋愛
性に興味を持ち始めた頃に訪れた憧れの年上の女性との一夜の経験

【完】経理部の女王様が落ちた先には

Bu-cha
恋愛
エブリスタにて恋愛トレンドランキング4位 高級なスーツ、高級な腕時計を身に付け ピンヒールの音を響かせ歩く “経理部の女王様” そんな女王様が落ちた先にいたのは 虫1匹も殺せないような男だった・・・。 ベリーズカフェ総合ランキング4位 2022年上半期ベリーズカフェ総合ランキング53位 2022年下半期ベリーズカフェ総合ランキング44位 関連物語 『ソレは、脱がさないで』 ベリーズカフェさんにて恋愛ランキング最高4位 エブリスタさんにて恋愛トレンドランキング最高2位 『大きなアナタと小さなわたしのちっぽけなプライド』 ベリーズカフェさんにて恋愛ランキング最高13位 『初めてのベッドの上で珈琲を』 エブリスタさんにて恋愛トレンドランキング最高9位 『“こだま”の森~FUJIメゾン・ビビ』 ベリーズカフェさんにて恋愛ランキング最高 17位 私の物語は全てがシリーズになっておりますが、どれを先に読んでも楽しめるかと思います。 伏線のようなものを回収していく物語ばかりなので、途中まではよく分からない内容となっております。 物語が進むにつれてその意味が分かっていくかと思います。

処理中です...