自己評価低めの彼女は俺の自信を爆上げしてくれる。

茜琉ぴーたん

文字の大きさ
上 下
51 / 85
5月

50

しおりを挟む

 この夜、千早は珍しくこの1回の営みだけで追加を求めず、後は並んでお話をするだけだった。

 アパートに戻っても部屋には入らず、眠たい目を擦りバイクに跨って帰って行く後ろ姿を見送れば知佳の心にやはり「言い出せない何かがあるのかな」との思いが強くなる。

 倦怠けんたい期なのか、何で忙しいのか聞いてもいいのか。
 

 怯えと遠慮で踏み込めない知佳は部屋へ帰り、あまり出番の無かったベビードールを洗濯ネットへ押し込んで洗濯槽へ投げ入れた。





 一方、帰宅した千早は「はぁ」とため息を漏らして股間を触り、居間の座卓でとあるテキストを開いて頭を掻く。

 彼が最近忙しいのはこの勉強のため、寝る時間は惜しんでないのだが慣れない座学に脳がパンクしかけていて、ストレスもあって体が思うように動かなくなっていた。

 具体的に言うと無性にイライラしたり知佳を抱きたいという意欲が湧かなかったり。

 実は「倦怠期かな」という彼女の予測は半分は当たっていて、なんでも楽しい・嬉しいというような蜜月は終わりに差し掛かり現実的な部分が見え出してきている。

 コンプレックスや欲求不満により知佳の卑屈さにカチンと来る。

 フォロー待ちの構ってちゃんかとイラッとする。

 うじうじしているともっと酷い表情を見たくていじめたくなってしまう。

 好きは好きで大切にしたいのだ。

 それは変わりないのだが、いつか彼女が言っていた『短期間で燃えた恋って、燃え尽きるのも早いって言うよね』のセリフもここに来てジワジワ心を侵食してきていた。

 『釣った魚に餌をやらないタイプかと思ってました』とも言われたことがあったか、しかし5ヶ月も経てば自分で自分の機嫌は取れるだろうし過剰にチヤホヤすることも無くて良いと思っている。
 

 要は落ち着いた付き合いになったのだ。

 しかしそれを周知し合わずに会う頻度が減ってしまったために知佳が淋しい思いをしていることを千早はまだ気付いていない。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

ドリンクバーさえあれば、私たちは無限に語れるのです。

藍沢咲良
恋愛
同じ中学校だった澄麗、英、碧、梨愛はあることがきっかけで再会し、定期的に集まって近況報告をしている。 集まるときには常にドリンクバーがある。飲み物とつまむ物さえあれば、私達は無限に語り合える。 器用に見えて器用じゃない、仕事や恋愛に人付き合いに苦労する私達。 転んでも擦りむいても前を向いて歩けるのは、この時間があるから。 〜main cast〜 ・如月 澄麗(Kisaragi Sumire) 表紙右から二番目 age.26 ・山吹 英(Yamabuki Hana) 表紙左から二番目 age.26 ・葉月 碧(Haduki Midori) 表紙一番右 age.26 ・早乙女 梨愛(Saotome Ria) 表紙一番左 age.26 ※作中の地名、団体名は架空のものです。 ※この作品はエブリスタ、小説家になろうでも連載しています。

エリート警察官の溺愛は甘く切ない

日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。 両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉

赤髪騎士と同僚侍女のほのぼの婚約話(番外編あり)

しろねこ。
恋愛
赤髪の騎士ルドは久々の休日に母孝行として実家を訪れていた。 良い年頃なのに浮いた話だし一つ持ってこない息子に母は心配が止まらない。 人当たりも良く、ルックスも良く、給料も悪くないはずなのに、えっ?何で彼女出来ないわけ? 時として母心は息子を追い詰めるものなのは、どの世でも変わらない。 ルドの想い人は主君の屋敷で一緒に働いているお喋り侍女。 気が強く、お話大好き、時には乱暴な一面すら好ましく思う程惚れている。 一緒にいる時間が長いと好意も生まれやすいよね、というところからの職場内恋愛のお話です。 他作品で出ているサブキャラのお話。 こんな関係性があったのね、くらいのゆるい気持ちでお読み下さい。 このお話だけでも読めますが、他の作品も読むともっと楽しいかも(*´ω`*)? 完全自己満、ハピエン、ご都合主義の作者による作品です。 ※小説家になろうさん、カクヨムさんでも投稿してます!

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

パート先の店長に

Rollman
恋愛
パート先の店長に。

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

危険な残業

詩織
恋愛
いつも残業の多い奈津美。そこにある人が現れいつもの残業でなくなる

処理中です...