自己評価低めの彼女は俺の自信を爆上げしてくれる。

茜琉ぴーたん

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5月

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 この夜、千早は珍しくこの1回の営みだけで追加を求めず、後は並んでお話をするだけだった。

 アパートに戻っても部屋には入らず、眠たい目を擦りバイクに跨って帰って行く後ろ姿を見送れば知佳の心にやはり「言い出せない何かがあるのかな」との思いが強くなる。

 倦怠けんたい期なのか、何で忙しいのか聞いてもいいのか。
 

 怯えと遠慮で踏み込めない知佳は部屋へ帰り、あまり出番の無かったベビードールを洗濯ネットへ押し込んで洗濯槽へ投げ入れた。





 一方、帰宅した千早は「はぁ」とため息を漏らして股間を触り、居間の座卓でとあるテキストを開いて頭を掻く。

 彼が最近忙しいのはこの勉強のため、寝る時間は惜しんでないのだが慣れない座学に脳がパンクしかけていて、ストレスもあって体が思うように動かなくなっていた。

 具体的に言うと無性にイライラしたり知佳を抱きたいという意欲が湧かなかったり。

 実は「倦怠期かな」という彼女の予測は半分は当たっていて、なんでも楽しい・嬉しいというような蜜月は終わりに差し掛かり現実的な部分が見え出してきている。

 コンプレックスや欲求不満により知佳の卑屈さにカチンと来る。

 フォロー待ちの構ってちゃんかとイラッとする。

 うじうじしているともっと酷い表情を見たくていじめたくなってしまう。

 好きは好きで大切にしたいのだ。

 それは変わりないのだが、いつか彼女が言っていた『短期間で燃えた恋って、燃え尽きるのも早いって言うよね』のセリフもここに来てジワジワ心を侵食してきていた。

 『釣った魚に餌をやらないタイプかと思ってました』とも言われたことがあったか、しかし5ヶ月も経てば自分で自分の機嫌は取れるだろうし過剰にチヤホヤすることも無くて良いと思っている。
 

 要は落ち着いた付き合いになったのだ。

 しかしそれを周知し合わずに会う頻度が減ってしまったために知佳が淋しい思いをしていることを千早はまだ気付いていない。
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