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調査・内偵指示
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しおりを挟む僕は淡々と、事実だけを述べた。
自分が得た情報だけを、恐らくの時系列に沿って伝えた。
宮前くんは神妙に耳を傾けてくれて、時折合点がいったように相槌をくれた。
「……っていう、それで、勤務時間外だし聞いてみようかなって。あくまで個人的な話としてね…でもそうか、転勤しちゃってるのか」
『僕も家電外のことはあまり把握してなくて…お恥ずかしいです。そうか…僕の方で、調べてみましょうか?』
「良いの?怪しまれたらハラスメントになっちゃうよ?」
『向こうの店長さんとは交流がありますし…でもまずはうちの店内で聞いてみますよ。それとなく、まずは奥さんにでも。女性のネットワークの方が情報は掴みやすいと思いますし』
「なるほど…ではそれでお願いするよ」
宮前くんの同級生の奥さま・泉里香も彼と同店に勤める営業事務員だ。
うちの百合子と似たタイプの敏腕レジスタッフで、陰では『鬼嫁』なんて呼ばれてはいるが決して暴君などではない。
端的に言い過ぎて不興を買うことがしばしば、それを宮前くんがフォローして回ることで良いバランスなのだとか。
泉さんは確かに店のボス的存在だから、裏側の話が集まりやすいかもしれない。
とはいえ、「誰々が遊ばれた」とか「誰々がナンパされた」とかそんなエピソードが聞けたところでどうにもならないのだが。
僕は浜田の女性遍歴を編纂したい訳ではないのだ。
しかし何か有益な情報が貰えるかもしれない、ほんのちょっとの望みを宮前夫妻に託して通話を切る。
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