嬉野エリア長の調査報告書…娘と会社の治安は僕が守る。

帰還・嬉野家

40

　その夜、僕は寝床で妻に今回の旅の詳細を話してあげた。

　時系列に則って、貰った証言を順番に提示して。

　我が娘がどんな扱いをされたのか、浜田はまだはどんな男だったか。

　既に告げていた情報も上書きして、終わりまで教えた。


「…って、帰って、あとは見ての通り。名刺破ってエンド」

「そう…欲を言えば、浜田くんの後日談があったら物語として最高」

「んー、それは追々、宮前みやまえくんや浜田くんの上長から聞いてみるつもり」

「ありがとう、お疲れさま」

妻は布団から手を出して僕の額ひたいを撫でる。

　年甲斐もなく、僕は素直に嬉しかった。

「疲れたね…大してスッキリするものでもなし…僕は、浜田くんに会社を辞めて欲しい訳じゃないからね」

「まぁ、謝罪してもらえたんだし」

「浮気性の人ってさ、複数人並行したり取っ替え引っ替えすることに悪気が無いんだよ。本命が物足りないとか満足できないとか関係無く、遊びたい。ある意味優劣を付けないから一夫多妻制とか向いてるかも…だから、反省はしても改心はしてないと思うんだよね。せめて、『次は上手く隠そう』って思うくらいだろうね」

「そっか…でも、こうして叱ってもらえたんだから、今後何があっても自業自得よ」


　ここ数日は、探偵みたいな気分だった。

　そして警察みたいに乗り込んで、でも彼を裁く資格は無かった。

　妻の言うように、面白みのある後日談がいつか聞けたらなぁと…そう思う他無い。