嬉野エリア長の調査報告書…娘と会社の治安は僕が守る。

茜琉ぴーたん

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調査・内偵指示

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 2日後、大阪府内のホテルにて宮前みやまえくんから電話連絡を受けた。


『聞いてみたんですけど、うちの店では大人しかったみたいです。店外は分かりませんけど、女性はほぼ既婚者ですし彼の好みではなかったみたいですね』

「そうなんだ…一応、不倫はしないみたいだから…被害者がいないみたいで良かったよ」

『横浜の方も探りを入れてみたんですけどね、暴れ出してるみたいです。同じブランド担当の女性に対して、馴れ馴れしくしたり』

「…管理職は動いてるのかな」

『認識はしてますが、人手が足りないもんですから部門異動はさせられないみたいです』


 その店舗は家電以上にブランド品が売れていて、そこは店のかなめたる部門なのだ。

 僕が関東を担当している頃から知ってはいたが、今でも変わっていないらしい。

 海外からの観光客も大きなターゲットで、旧正月の時期などは爆買い客が殺到する。

 なので多言語に精通したスタッフを集めて固めてあるのだが、浜田はまだはその中でぬくぬくと女漁りをしているようだ。


「僕は管轄外だからなぁ…口出し出来ないな」

『次に本社に来られる時に、寄ってみたらどうですか?』

 確かに、不可能ではない。

 次の本社業務は再来週だから、ちょっと足を伸ばして古巣・神奈川へ行ってみようか。

「やろうと思えばやれるか…翌日を休みにして、日帰りを泊まりにして……正直、休みは自宅で家族と過ごしたいんだけどねぇ」

『分かりますけど、滅多に無い機会ですから…僕も時間が合えば、嬉野うれしのさんに会いたいですし』

「ははっ、可愛い奴め」


 ただ浜田を注意しに金と時間をかけて遠征するのは体力的にもキツい。

 しかしついでならば収穫が無くても痛手は少ないし気持ちも楽だ。

『僕は嬉野さんの弟子みたいなものですから』

「ふふ…よし、また連絡するよ」


 僕は新卒や中途採用やらのお世話をしては管理職へ推薦したり本社へスカウトしたりしている。

 僕そのものを出世への梯子はしごだと思っている人もいるし、宮前くんのように僕を慕って動いてくれる舎弟もいる。

 育てたスタッフは多けれど、特に交流が深い宮前くんは大切な人材だ。

 何も得るものが無くとも、宮前くんの顔を見て帰るだけでもお出掛けの理由になり得る。

 指針は決まった、出張まで本業に身を入れようと気持ちを切り替える。
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