10 / 45
調査・皇路西店
10
しおりを挟む「嘉島副店長、お疲れさまです」
「嬉野エリア長!お疲れさまです」
さて西店にて本来の仕事を行う。
副店長・嘉島健一(49)と店の調子や部下の様子について聞き取りを行った。
彼は僕と1学年しか歳が違わないが、まだ入籍して2年足らずの新婚さんだ。
お相手は本店の陽菜子さん、親子ほどの歳の差があるカップル誕生に発覚当時は大層騒めいたのを憶えている。
あらかた業務を終えてここからは世間話のターン、
「副店長、いよいよパパだね」
なんて冷やかせば彼は遠い目をしてため息を吐いた。
「どしたの、楽しみでしょ?午前中に本店も見て来たけど、奥さん幸せそうだったよ」
「もちろん楽しみですけど…体がもつかどうか…」
彼が懸念しているのは己の体力か、若くとも心身が疲弊するというのにアラフィフではどうなることかと心配しているようだ。
「五十路で初子育てだもんね、こればっかりは頑張るしかないよ」
「…いきなり双子はキツいなァ…」
「あ、そうなの⁉︎そりゃ大変だ」
「奥さんが多胎家系らしくて…彼女のお母さんもお姉さんも双子、その子供たちも双子なんですよ」
うちは数年隔ての3人だが、幼い頃は毎日が戦争みたいだった。
大人しく寝ているだけなら可愛いもんだが動き出したらもう怪獣と一緒、1人ずつでもそうなのに2人いっぺんにとなると…想像しただけで肩がずんと重くなる。
「そうか…半休とか上手く使ってね、有給貯まってるんだし…あと、奥さんのメンタルケアな、元気そうに見えてもそうじゃないこともあるから」
「はい、心掛けます」
よく出来た人間ほど弱音を溜め込んで、爆発せぬまま沈んでしまうんだ…うちの奥さんだって過去に沈みかけたことがあるから、僕も他人事じゃない。
一緒に住んでたって上手に隠されたら気付けないのだ、仕事で留守にしてれば尚更だ。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
保健室の秘密...
とんすけ
大衆娯楽
僕のクラスには、保健室に登校している「吉田さん」という女の子がいた。
吉田さんは目が大きくてとても可愛らしく、いつも艶々な髪をなびかせていた。
吉田さんはクラスにあまりなじめておらず、朝のHRが終わると帰りの時間まで保健室で過ごしていた。
僕は吉田さんと話したことはなかったけれど、大人っぽさと綺麗な容姿を持つ吉田さんに密かに惹かれていた。
そんな吉田さんには、ある噂があった。
「授業中に保健室に行けば、性処理をしてくれる子がいる」
それが吉田さんだと、男子の間で噂になっていた。
セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。
捨てる旦那あれば拾うホテル王あり~身籠もったら幸せが待っていました~
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「僕は絶対に、君をものにしてみせる」
挙式と新婚旅行を兼ねて訪れたハワイ。
まさか、その地に降り立った途端、
「オレ、この人と結婚するから!」
と心変わりした旦那から捨てられるとは思わない。
ホテルも追い出されビーチで途方に暮れていたら、
親切な日本人男性が声をかけてくれた。
彼は私の事情を聞き、
私のハワイでの思い出を最高のものに変えてくれた。
最後の夜。
別れた彼との思い出はここに置いていきたくて彼に抱いてもらった。
日本に帰って心機一転、やっていくんだと思ったんだけど……。
ハワイの彼の子を身籠もりました。
初見李依(27)
寝具メーカー事務
頑張り屋の努力家
人に頼らず自分だけでなんとかしようとする癖がある
自分より人の幸せを願うような人
×
和家悠将(36)
ハイシェラントホテルグループ オーナー
押しが強くて俺様というより帝王
しかし気遣い上手で相手のことをよく考える
狙った獲物は逃がさない、ヤンデレ気味
身籠もったから愛されるのは、ありですか……?
Promise Ring
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
浅井夕海、OL。
下請け会社の社長、多賀谷さんを社長室に案内する際、ふたりっきりのエレベーターで突然、うなじにキスされました。
若くして独立し、業績も上々。
しかも独身でイケメン、そんな多賀谷社長が地味で無表情な私なんか相手にするはずなくて。
なのに次きたとき、やっぱりふたりっきりのエレベーターで……。
白衣の下 拝啓、先生お元気ですか?その後いかがお過ごしでしょうか?
アーキテクト
恋愛
その後の先生 相変わらずの破茶滅茶ぶり、そんな先生を慕う人々、先生を愛してやまない人々とのホッコリしたエピソードの数々‥‥‥ 先生無茶振りやめてください‼️
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
甘い失恋
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
私は今日、2年間務めた派遣先の会社の契約を終えた。
重い荷物を抱えエレベーターを待っていたら、上司の梅原課長が持ってくれた。
ふたりっきりのエレベター、彼の後ろ姿を見ながらふと思う。
ああ、私は――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる