嬉野エリア長の調査報告書…娘と会社の治安は僕が守る。

茜琉ぴーたん

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調査・皇路本店

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 あらかた聞けることは聞いたし本来の業務も出来たし、本店を後にしようと守衛室へと向かう。

 従業員しか入れない裏口1階の隅っこの部屋、正確には『商品管理室』なる物流系事務室だ。


「失礼…入館証返すね…手荷物確認お願い」

「はい、では拡げていただいて…」

 ここの住人である千早ちはや知佳ちか(30)は広島出身で、配送担当の男性に見初められて結婚した新婚さんである。

 人の出入りが多いとそんな出逢いもあるものだ、不審物も入っていない鞄を閉じて入館証を手渡した。


 一応聞いておこうかな、

「千早さん、この前まで居た浜田はまだくんについて…何か情報ないかな?」

と問えば彼女は当然キョトンとして僕を二度見する。

「へ…業務上ですか?」

「私的なことでも。人柄が分かるトピックとか」

「んー?んー……あ、浜田さん、女の子のキャラクターものの可愛らしいスマホカバーを着けてたんですよ。男の子にしては珍しかったので聞いたら、『地元の彼女とお揃いなんです』って言ってて…でも後からその、」

「二股とかあったみたいだね」

「えぇ、なのでその…印象は最悪ですね。白物の高石たかいしさんとか、法人の清里きよさと所長もモーション掛けられたと言ってました」

「あの2大巨頭に?…いや、ごめん」

 それは清里じゅん(32)と高石美月みつき(29)のこと。

 何の巨頭かって、その2人は長身でいてナイスバディで店を代表する美女だということだ。

 しかし下世話な二つ名を人事の僕が口にしては問題だ。

「パートナーがいると知ったらスッと離れたみたいですよ」

「そうか…ちなみに千早さんは何もされなかった?いやその、差し支えなければ」

「んー、んー…私みたいなのには何も無いですが…でも何となく、隙がありそうな人、いや、純な女の子を狙っているような感じはしましたね」

 娘は男慣れしていなさそうでまんまとハマったのだろう、千早さんは言葉を濁してくれたが浜田は『引っ掛けやすい』女性を見分けるのが上手いということだろう。

「そうか…ありがとう」


 浜田のクズっぷりが開示されるほどに、それと懇意になった我が娘の評価を想像して胸が痛む。

 浜田と交際したのだから尻軽だと思われてやしないか、アイツと同類のクズだと思われてやしないだろうか。

 しかしそこは自身が見て来た娘の姿を信じる他あるまい…心優しい本店のメンバーに祈りを込めつつ、タクシーで西店へと移動した。
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