枯れかけのサキュバス

おまけ（全９話）

ブルー・ドラゴン 7

　京都滞在中は唯さんの実家・笠置かさぎ家に泊まらせてもらうことになっている。

　予定より１日早く前乗りしてしまったけど、笠置家の皆さんはそれも予測していたみたいだ。

　僕は昨晩、ここを恐る恐る訪ねたのだが、義兄・類るいさんは眠い目を擦り「はいはい、ここな」とすぐ仏間に通して下さった。

　そこには既に布団が敷いてあり、充電器やらペットボトルのお茶なんかも親切に傍に置いてあった。


「どうだった？赤ちゃん」

唯さんの面影がある姪っ子を抱いて、類さんの奥さん・優美ゆうみさんが尋ねる。

「可愛かったです。僕、正直…可愛いと感じるか不安だったんですけど、一目見たらもう…あの子の為なら何だってしてあげたい、って気持ちが溢れちゃって」

「良かったねぇ、ユイちゃんが赤ちゃん産んだんだって」

「あかちゃーん」

優美さんに言われ、姪っ子ちゃんは目を輝かせた。
　
　この幼女は僕の子のイトコになるんだな、そう思えば一層キュートに感じる。


「お義父さまもお義母さまも、類さんも優美さんも…ユイさんと息子をよろしくお願いします。なるべく通いますので」

今ここに居るのはお義母さまと優美さんだけだが、僕はきちんと足を正して三つ指をついた。

「退院したら、お祝いやね、優美ちゃん」

「男性陣に作ってもらいましょう」

「それがええわ、楽で」

　お義父さまと類さんは外で割烹料理店を営んでおり、お膳なんかはお手のものだ。

　来るべきその日を想像して、僕はまた目頭が熱くなる。

　こんなに温かい家族に迎えられる、僕の妻と息子はなんて幸せ者なんだろう。

　また少し泣いて、皆に励まされた。