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おまけ(全9話)
ブルー・ドラゴン 5
しおりを挟む「ユイさん、おめでとうございます」
「あ、おおきに…」
翌朝、目の下にクマを作った僕は寝たきりの唯さんを見舞った。
昨夜は面会時間も終わっており、夜間受付でやんわり断られて泣く泣く諦めたのだ。
担当者に「ご本人が会いたくないそうで…」と濁さず告げられて、僕は絶望して眠れなかった。
「連絡せずに来てすみません。色々と言いたいことはあるんですが」
「ご、ごめんて…うち、立ち会いも予定してへんかったし、昨日はほんま疲れてたから…ずっと寝てたしスマホも見られてへん」
眉毛も描いてない素顔、青白い肌。
腕には点滴の針がテープで固定されており、入り口の横には畳まれた車椅子がある。
「…ユイさん、起きられないんですか?」
「うん…いきむ時に分娩台のバー握っててんけど、力入れ過ぎて筋肉痛やねん…脇腹も、脚もや…トイレも行かれへん…情けないやろ」
唯さんのベッドの横にはチューブの繋がった袋が吊るされていて、おそらく尿を溜めるものなのだろうと想像できた。
いつも綽々たる唯さんのぐったりした姿、僕の方こそ情けなくて涙が溢れる。
「ずみません、僕が心配ばかりかけて…こんな僕だから、立ち会いも許可してもらえなくて…」
「いや、出産は見てもうたら勃たへんようになるって聞いたし…せっかく我慢したのに興奮されても困るしやな」
「それは…分かりませんけど…」
「しばらく居るんやろ?新生児室に赤ちゃん居てるから、見てやって」
「…はい」
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