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10月・展開のサキュバス

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「あ、美味しい♡これは、お酢ですか?」

サラダに絡ませた唯手製ドレッシングを味わいながら葉山が尋ねる。

「うん、バルサミコ。洒落てるやろ、使い切るまでしばらくはこれやで」

「いいですよ、ユイさんが作るものなら何でも食べます。幸せ♡」

にこにこしながら葉山は箸を進め、あれほど冷たく荒々しく自分を詰めたのと同じ人間の物言いとは思えない、と唯はモグモグしながら思い返す。

「(龍ちゃんが荒々しいのも…燃えんなぁ…ハロウィンの時も結構…)」


 食後は葉山に先にシャワーを使わせ、唯はその間に片付けをしていると、あがってきたパジャマ姿の彼が

「ユイさん、家電特番観ましょうよ、先週のやつ」

と提案する。

「あー、でもあれ黒物1個しか無かったで?まぁ観る?うちシャワーしてくるから」

レコーダーを操作し、録画リストの中からお目当の番組を選んで再生ボタンを押す。

 唯はお茶とお茶請けを座卓へ乗せてから、パジャマを持って風呂場へと向かった。





 しばらくして風呂から戻ると、葉山は興味深そうに画面の商品紹介に観入っていた。

「最近は、プロジェクターで壁に映す方も増えてるんですね」

 唯に気付いたら定位置の座椅子へ座るよう促してくるので、そのように座ってやる。

「よいしょっと…映画とかよお観る人ならそんなんええやろね、うちは週末のロードショーくらいしか観ぃひんからな」

「そうなんですか?案外恋愛映画とかお好きなのかと」

「お前、うちがろくに恋愛した事無いの知ってるやろ…そんなんに憧れてたらビッチしてへんわ…」

「んー…確かに」



 早送りしながら最後まで観て、特に得た情報も無かったがまったりとした時間を過ごし、やがて二人は寝室へ向かった。
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