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10月・展開のサキュバス

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「…あのね、ユイさんがぁ、いつも脱がずに跨がるから、着てる状態じゃないとた、…興奮しなくなっちゃったんだよ。ユイさんがまともに裸見せてくれたことないから!」

 本人的には『恥ずかしい話』にカテゴライズされるのであろう、情けなく眉を下げて、どさっとベッドに倒れる。

「ほー……」

 確かに、唯は以前は葉山の前で全裸になった事は無かったように思う。

 なんせ、ホテルに着いたら下着だけ剥いでの即騎乗位セックスだったのだから。

 お泊りをしても風呂は別だし、セックス中は何か羽織らされているし、触りはするが直に胸を見たがらないし、ようやく唯は合点がいった。

「そう、やな………うん、龍ちゃんとは着てシてたな」

 それを聞いた葉山はムッとして顔を上げる。

「僕とは?他の奴とは裸でしてた?」

「…した人も居ったよ」

「…ムカつく…」

「いや、ほなおいで、入ろ。せっかくのホテルの風呂や」


 二人で脱衣所へ向かい葉山は先に湯張りを始め、その間に唯はワンピースを脱いで振り返った葉山に裸を見せてやる。

「はい」

「…………綺麗ですよね、とても。なんだかこう、」

青年はジェスチャーも交えて、必死に言葉を選んだ。

「……やっぱコーフンせぇへん?」

答えは彼の体の反応を見て既に分かっているが、悔しいので唯は問いただす。

「いや、あの。すみません、マネキンを見てるような感覚です」

「女に恥かかしなや…」

「すみません、トイレ済まして来るので、シャワー先にどうぞ」

青年はローブを羽織ってトイレへ遁走した。

「ふふっ」

ああは言ったが、葉山が珍しく気まずそうにしているのが新鮮で面白い。


 唯は先に体を洗って、湯がたまるのを浴槽内で待つことにし、シャワー音が途切れたのをきっかけに「お待たせしました」と葉山が入ってきた。

 変わらず割れた腹筋、全体的に筋肉質で、放っておいてもモテそうな体である。

「そんなに見ないで下さいよ」

葉山は浴槽からジットリと眺める唯をたしなめる。

「んー、前にAVの話したやんか、好みのジャンルの。素っ裸やったら、そういうのも興奮せえへんの?」

 ちなみに葉山の好きなジャンルは、女上司・クラスの派手なギャル、などの『生意気な女を凌辱する系』である。

「あー…どうでしょう。シナリオものって、衣装とか背景とか世界観あるから、全裸を意識したことがないですね……」

「ほな、今度女優さんの素っ裸で勃つか試してみてよ。もし勃ったら、お前が苦手なんは『うちの裸』いうことやからな」

 唯としてはなかなかの身を切った提案、それを受けて葉山は浴槽のフチに腕をもたれ、

「…どうだろ…克服できるかな…」

と、細くて白くて大きい骨張った男らしい手で、顔に流れ落ちる水滴を拭う。

「あのー…エロさを感じひんってだけで、嫌悪感があるわけちゃうやろ?」

「ないない、ありませんよ!本当、こう…」

 葉山は湯船に浮かぶたわわを触り柔らかさを確かめ、

「触れば気持ちいいし、安心しますし…うん、好きです」

と頬杖をつき、とろんとした眼で八の字眉の顔はいつもより大人びて見えた。

「女性の裸を見せられても興奮しないって、変でしょう?やっぱスリコミですよね、最初の印象が強烈すぎて…着衣のユイさんが一番キますよ」

「昔から裸でシとったら、着衣やと燃えんかったんやろか?」

「……そうかも…おっぱい星人になってたかもしれませんね、ふふ」

 指先で突起を摘み、優しくも意地悪そうに葉山が笑う。
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