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9月・承服のサキュバス

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「よいしょ」

寝ると言ったくせに寝室の照明は明々としているので、唯は枕元のリモコンで明るさレベルを落とす。

「ユイさん、こっち」

「ん、」

 揃いのパジャマで、ベッドに腰掛けたまま正面からハグをして、キスをして、耳をみ、またキスをした。

「ユイさん、触って。腹ちゃう、ここ」

「…うわ、あ♡」

 葉山は、既にたぎっている自身を服の上から触らせる。

「はァ…」

「色っぽい声出んね、龍子ちゃん」

「それやめて…萎える…意地悪やな…」

唯のパジャマの胸元をはだけながら恨み言を呟き、ナイトブラのアンダーに手を当て、ぽよんぽよんと乳房を持ち上げた。

「………龍ちゃん、楽しい?」

「楽しい…ずぅと見てられます…」

「龍ちゃんは、おっぱい星人ちゃうよね、固執せんよな」

「普通……全部好き…」

青年は背中を曲げて、谷間に鼻を埋め顔を隠す。

 胸の話になると葉山は歯切れが悪い…唯は、何か隠し事でもあるかのように感じていた。

「これ、一応うちの売りやで」

「言い方。売らないで…」

「言葉のアヤやん。チャームポイントか」

「うん…接客中も、ジロジロ見とる客がいて…腹立つ…人の彼女の胸を…」

 吐息の熱と声の振動が胸の奥へ伝わって、快感なのかくすぐったさなのかじんじんと湧き立つものがある。

「小さく見えるブラもあんねんで?買ってみよか」

「…押さえ付けるってことですか?苦しそうですね…」

葉山が仕切り直しのキスをする…互いの体液が交じると、口内に甘ったるい味が広がった。

「ん♡は、ん…ユイさん…残ってた羊羹ようかん、食うたでしょ…んっはむ…」

「ふっ、んぁ…は♡バレた…」

「味がする…甘い……ユイさん…んっ、ん、」

「むぁ…息、できひん」

ゼロ距離での会話は2人の親密さを表すようだった。

「ユイさん、僕のこと好き?」

「は…好き♡」

「!」

 唯はくしゃっと目を細め10代の少女の様に歯を見せて笑うので、葉山は想定外の言葉に

「…なんや…なんで今日は素直なの…虐める理由がない…」

とガックリ項垂れる。

「ふふ、虐める気やった?残念やな、てか喜べよ」

「嬉しいけどさっ‼︎」

悪態をつくゆいを押し倒し、葉山がいつもの立場からおねだりをしてみせる。

「もう1回、ユイさん、僕のこと好き?」

「好き、」

 身震いする程の悦びに葉山は顔を顰め下唇を噛み、唯の下着ごとパジャマのズボンを剥ぎ取った。

 そして自分もパジャマをはだけて下も脱ぎ去り、手早くスキンを装着する。

「はーーー…計画変更…虐められへん、前戯無しでナかせよ」

「…うん?ん…?」

「はー…♡ユイさん、僕のこと好き?」

「しやから、すき…っあ!なに?」

 葉山は挿入前の正常位から唯の左脚だけ持ち上げて、自身の肩に担ぎ下の脚を跨いだ。

「正常位を極めるって言ったでしょ、僕調べました。この前もにゃんにゃん鳴かせたときしたやつ、女性が一番中イキしやすい『松葉崩し』に似てたみたいです。今夜は正式に試そうかと」

「マツバ」

耳慣れない名前に唯は恐れを成す。

 唯は歴戦の手練てだれだが、騎乗位オンリーの戦士であった。

 性技は本能で体得したものばかりで、どうすれば快感が得られるか、など調べようともしたことがないのだ。

 しかし確かに先月その体勢でシた時、すごく良かったのは覚えている。

「いきますよ、ユイさん♡」

「……」

 目を逸らした唯を眺めて、葉山は口元がついついほころぶ。

 脇を締め、握り締めた拳を猫のように鎖骨の辺りで持て余す彼女の姿が愛らしく感じたのだ。


 唯は抱く毎に違う顔を見せてくれるので、葉山は飽きないし彼女を手放せない。

 セックスを極めたと思い込み勝手に枯れかけていたこの女に、まだまだ知らない深い世界があることを自分の体で教えてやらねば気が済まない。

 かつて自分があらゆる初めてを体感させられたように。

 小陰唇が擦れないようローションを少し垂らし、歪んだ穴の入り口に自身をぴとと当てがって、一気に挿入する。

「っあ!あー…やっ、んっやぁっ…っ!」

「アー…あは♡ユイ、さん…ははっ…すご…」

ナカは更にぐにゃりと潰れていて、葉山の隆起が普段当たらない所に擦れていった。

「あがんっ…!りゅう、ぢゃンっ!やっあ♡」

「だめ?いつもと、違うとこ、擦れて…は♡あー♡」

葉山は余りの快感にペースを落とし、ちょこちょこ動きながら胸にも手を伸ばす。

「いあ…は…♡んぐ…ふっ♡あー…」

「ユイさん、気持ちいい?ね、ユイさん♡」

「ンっ、あ、うん、いいっ♡気持ち、いいっ♡」

「なんや、いつも、この半分でも、素直やったら、ええのにっ、なっ!ん、あ、ユイさん、キツなってきたぁ♡」

 いつも以上にはしゃぐ葉山の若者らしい姿に、突き上げられて揺れるぼんやりした思考の中で、唯はうっとりとなる。
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