枯れかけのサキュバス

茜琉ぴーたん

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9月・承服のサキュバス

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 アパートに着き、唯は玄関に入るといち早くリビングへ向かおうとする。

 しかし踵を浮かせて片方ずつ靴を脱いで前のめりになった彼女の、腹へ買い物袋を床に落とした葉山が手を回す。

 そして体を入れ替えて逃すものかと玄関扉へ押さえつけた。

「グふ、」

「ハァ…ユイさん、歩く度に超揺れてた…アーもうけしからんおっぱい…♡」

彼は胸も尻も分け隔てなく好きらしい。

 服の上から胸を持ち上げ、形を際立たせてふにふにと揉みしだく。

「何言うてんの…ちょぉ、冷たいわ、ドア」

 金属扉がひんやりと布越しの唯の体を冷やし、葉山は無視してそのままひざまずく。

 そして彼女の右脚を持ち上げて自身の左膝の上に乗せた。

「とっと…なに…」

「肩に手置いていいですよ」

 そう言うとスカートの裾をめくり右手をするすると腿に沿わせ、

「倒れないでくださいね、」

中指を真っ直ぐにソコヘ伸ばし入り口を探る。

「ちょい、龍ちゃん、」

「声、抑えられます?」

 唯はハッとして、外にも意識をやる。

 前の道路を通過する車の音、散歩中の犬の鳴き声、遠くに救急車の音も僅かに聞こえていた。

「龍ちゃん、ここじゃできひん…」

「頭を掴んでていいですよ、」

元より意見を聞き入れる気が無い葉山は、早くも指を第二関節まで挿し入れる。

「んっ♡」

「痛く…ないですか?動かしますよ。ふふ、僕、常々ユイさんが大人しくなるシチュエーションを考えてるんですけどね、」

「うあ♡…は、阿呆かっ!っあ♡」

「さすがにお外では出来ないでしょう?でもここでも充分、大人しくなりますね♡…立ってるから、力が入ってて、いつもよりキツいし」

「しやから、中入ろうて…うん…ン~、聞け、よ」

「もう少し、頑張ってみましょう」

ぐりぐりと指を動かすと「ひゅぅ」と動物の赤ちゃんのような切ない声を唯が出すので、葉山は俄然やる気を出してしまった。


「!」

その時階下からカツン、と靴音がし、唯の肩がびくんと上がる。

「龍ちゃん…人が通るっ…」

「はい、静かにしましょうね」

 そう言いながらも手を止める気配がないし、もう指は付け根まで呑み込まれてしまっていた。

「ぐぅッ♡フぅっ♡」

「…可愛い声♡ここがGスポットってやつですよ…ん、」

葉山はナカで指を曲げてこれでもかと唯を困らせ、彼女が暴れると玄関ドアが枠に干渉して大袈裟な音が出た。

 足音は更に近づくので、

「警察呼ばれちゃいますよ…」

と葉山が意地悪な顔で、しなだれかかる唯の耳元に囁く。

「ンっ…♡ぃゃ、ぃ、ゃ、だめっ、」


 そしていよいよという時、

「はい、………行きましたね、」

足音がすぐまで迫ったら葉山は指を抜き、そのまま足音は玄関の前を通過して2軒隣へ入っていった。


「ふっ…阿呆…も…」

 緊張の糸が切れて、唯が葉山へ体重を預けて倒れ込めば、

「おっと、すみません、はしゃぎ過ぎました、抱っこしますよ」

と青年は小さな彼女を担ぎ上げてささっと靴を脱ぎリビングの座椅子へ下ろした。


 一方玄関の床に投げっぱなしだった甘味を回収して座卓へ並べるが、パフェとプリンは少し崩れてしまっていた。

 まるで親の機嫌を窺うように葉山は両手を膝に置いて正座し、俯いてチラチラと気まずそうに唯を見て、

「…あー、崩れたやつは僕が責任を持って食べますから」

と提案する。

「当たり前やろ…」

「あ、お茶…ね、淹れますね、」


 上気した顔で唇を尖らせる唯から距離を取ってそそくさと葉山は台所へ中座し、ケトルに残った白湯を沸かし直した。

「勝手知ったる人の家♡」

ティーポットに緑茶の茶葉を入れていつの間にか持ち込んだマイマグカップを並べ、ゆらゆらと揺れながらお湯を待つその顔はやりきった感に満ちている。

「…龍ちゃん、全部半分こする?どれが好き?」

「あー、苺のやつ好きですね」

 苺を生クリームで包んで求肥ぎゅうひで巻いたもの、中心に苺ソースがかかったプリン、苺クリームのロールケーキなど、苺スイーツだけでも種類があった。

 ポットとマグを抱えた葉山がリビングへ戻ってくると唯は崩れたプリンを開け、キレイな所をスプーンですくって葉山へ差し出す。

「ほら、あーん」

「……あーん、……あ、おいひい…」

葉山は中腰で屈んだまま、ありがたい甘みを頬張った。

「…龍ちゃん、隣おいで、」

「♡」
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