上 下
90 / 100
エピローグ・失策のサキュバス

82

しおりを挟む

「まぁ帰りも、電車乗るフリして後を尾けましたし、あらゆることはしました。お母様はゴルフがお好きなんですね」

「は」

 庭の倉庫の前に置いてあるパターセットを見たのだろうか、「母が」と言い当てる辺り、きっと明るい時間帯にも自宅を訪問したのだろう。

 唯は一応手元にスマートフォンを握り締めて有事に備えていたが、お互い素性がバレているので話し合いで解決するだろうとは踏んでいた。

 だがコイツは予想以上にヤバい奴かもしれない。

 それも恐怖というより、「なぜここまでするのか」という疑問ばかりが募る。

「…ユイさん、セフレでもいいです、お側に置いて下さい…」

まぁ断られることも充分想定していたのか、聡明な青年は最近覚えたであろう単語を使って更に自身を売り込む。

「はぁ?意味分かって言うてんの?」

「はい」

「……お前、そんなにうちが良かった?他探した方が早いよ?」

「ユイさんがいいんですよ、初恋です」

「恥ずかしい事言いなや…うちにええように使われるんやで?うちが言うのもちゃうけどさ、男としてどないやの?」

「構いませんよ、好きな時に呼んで下さい。僕ね、ムラタのバイト募集見てすぐ担当さんに声かけて、遠くから見てたんです。パートの方から情報を少しずつ聞き出して…本名を知りたくて。そしたらユイさんはユイさんだった、すごく嬉しかった…最初から本名を教えてくれてた」

「大した理由は…いや、まぁお前可愛いし、あそこまで食い下がって聞いてくるから…」

 葉山は、ぼちぼち「この女は押しに弱い」ということに気づき始めている。

 割り切った関係ばかりで、ここまで相手からグイグイ来られることが無く不慣れなのであろう。

「ユイさん、お願いです。お好きな時に、僕を使ってください。あんなナンパばかりしてると、いつか危ない目に遭いますよ。僕を少しでも好みだと思ったから連れて帰ったんでしょう?ねぇ、ユイさん、誰にも言いません。店では馴れ馴れしくしませんから、ねぇ、ユイさん」

 説得に次ぐ説得、子犬のような目つきで縋られ、唯の意志がポッキリと折れてしまった。


「んー………、ほんまにセフレやで?二度と家に来んなよ?」

「ああ良かった、聞いてくれなかったらどうやって脅そうかと…」

「お前さぁ…まぁええわ…名前何やったっけ?」

「龍、」

「龍ちゃん、ちょっと待ってな、そこ、座席後ろにずらして、」

そう言って唯は運転席も目一杯前へスライドさせる。

 広くなった運転席の後ろへ葉山を座らせ、一旦外に出た唯はその葉山の膝の上へ再度乗り込んだ。

「ユイさん、」

「しー、」

 ヒールパンプスを脱いで太腿へ騎乗、首に手を回し顔をしっかり見ながらぺろぺろと唇を舐めると、薄暗い駐車場照明の下でも葉山の照れている様子はよく見える。

「あの、」

「うち、今生理やから。抜きだけな」

そう言って唯は膝の間へ降りてしゃがみ込み、さっきから主張の激しいモノを解放して触り、ねぶり、搾り取ってやった。


 監視カメラは避けたし壁に前向き駐車だし、唯なりの配慮はしたつもりだったが、初めての半屋外射精は葉山にとって凌ぎきれない辱めだったようだ。

「龍ちゃん、撮るよ。ダブルピースせな、はいチーズ!」

 白濁液に塗れた局部を出したまま上気した顔でスマートフォンのカメラを向けられ、葉山は笑うことなど出来ず慌てた表情で写真に収まってしまう。

「会社で親しげにしたらコレ待ち受けにしたるからな」

こんな暗がりでフラッシュも焚かずに撮った写真などまともに写ってる筈はない…これは唯の趣向返し、脅迫返しのハッタリであった。

「…しないってば…もう…ユイさんの意地悪…」

 しかし葉山は幸福そうに笑い、この日から二人のただれた関係が始まる。


 跨がる日、抜かれる日、葉山がこの流れの規則性に気づいたのも早かった。

 仕事中にも唯の様子を観察し、カレンダーを見ながら次に呼ばれる日を予測してはワクワクしていたものだ。

 そして突然の別れを経て、葉山の執念をもって再会することになる。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

【R18】隣のデスクの歳下後輩君にオカズに使われているらしいので、望み通りにシてあげました。

雪村 里帆
恋愛
お陰様でHOT女性向け33位、人気ランキング146位達成※隣のデスクに座る陰キャの歳下後輩君から、ある日私の卑猥なアイコラ画像を誤送信されてしまい!?彼にオカズに使われていると知り満更でもない私は彼を部屋に招き入れてお望み通りの行為をする事に…。強気な先輩ちゃん×弱気な後輩くん。でもエッチな下着を身に付けて恥ずかしくなった私は、彼に攻められてすっかり形成逆転されてしまう。 ——全話ほぼ濡れ場で小難しいストーリーの設定などが無いのでストレス無く集中できます(はしがき・あとがきは含まない) ※完結直後のものです。

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

【R18 大人女性向け】会社の飲み会帰りに年下イケメンにお持ち帰りされちゃいました

utsugi
恋愛
職場のイケメン後輩に飲み会帰りにお持ち帰りされちゃうお話です。 がっつりR18です。18歳未満の方は閲覧をご遠慮ください。

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

【R18】散らされて

月島れいわ
恋愛
風邪を引いて寝ていた夜。 いきなり黒い袋を頭に被せられ四肢を拘束された。 抵抗する間もなく躰を開かされた鞠花。 絶望の果てに待っていたのは更なる絶望だった……

処理中です...