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9月・承服のサキュバス
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しおりを挟む棚卸しの翌日の夜。
「ねぇユイさん、引っ越しはいつにします?次の休み、内見しに行きましょうよー」
食事を済ませた座卓で、唯の髪を指でくるくる巻きながら葉山が尋ねる。
「んー?…んー…」
彼女は座椅子に腰掛け、お茶を飲みながら気のない返事をした。
確かに、5日くらい前に唯はそんな話をした覚えはある。
葉山の泊まりに来る頻度が高いし、ちょうど来春に社宅の更新があるし、色々と都合が良いと思ったのだ。
「無かったことにはできませんよ?年が明けたら、学生さん達も動き出しますから、早めに押さえときましょうよ」
「…まだ9月…せや、うちはそろそろ転勤もあるかもわからんぞ」
「でも、転居を伴う転勤は減ってるでしょう?あ!いい事考えました」
「言わんでええよー」
「ね、結婚しちゃえばいいんだ♡で、転勤希望なしに変更かけてさ、」
「却下や…まだ早い」
頭から否定をしない唯の答えに青年は沸き立ち、
「…………将来的にはあるんですね?…嬉しい♡」
と、後ろ頭にずりずりと頬を擦り付けた。
「…お前さぁ、うちと同棲してもセックスばっかするわけちゃうぞ?」
「もちろんですよ、僕は、ユイさんとなら何をしてても楽しいですからね。料理も洗濯も、子育ても頑張りますよ!」
「早いって……お前くらいの歳でも、結婚とか考えるんか…てか、いくつ?」
彼女は未だにその辺りをハッキリさせようと思わないし、無頓着なのである。
「……もぅ、それくらいじゃ僕はめげませんよー、実は、先週の火曜、誕生日でした。23になりましたよ」
「は?なんで言わへんねん…祝いくらいしたるのに」
「いや、あの時、ユイさん危険日週だったし、僕もわざわざ誕生日に虐められたくないので…」
「英断やな……ほーか、でも泊まりに来とったよな?」
「ユイさんが出歩かないようにね♡ほら、新庄さんからデートに何着たら良いかって相談が来てた夜、あの日が誕生日でした」
それは同僚の陽菜子が年上の恋人とデートをするべく、よりによって唯に相談を持ちかけてきた日であった。
「あー、はいはい…したら、あれやな…埋め合わせするか…ケーキでも買うて」
「ユイさん…棚卸しで疲れ過ぎたんですか…?僕のためにケーキだなんて…」
せっかく厚意で提案したのにその言い草、唯はすぐにヘソを曲げる。
「…要らんならええけど」
「嘘です、欲しいです。嬉しい♡ユイさん明日には忘れてると思うので、今から買ってきますよ。まだ…21時ですし」
葉山は時計を確認した後に寝室に移動して、外歩き用の服に着替えた。
元々明日は休みだし、カップルならばあって当たり前のイベントを、この唯が提案してくれることが貴重で嬉しくて…信じられなかったのだ。
リビングに戻ると唯が財布をポケットに入れて待っていた。
「うちが買わなね。そこのコンビニでええ?歩くかぁ」
「…いいんですか?デートですね」
もはや誘い受けのようなツッコミ待ちの言葉を受けて、唯は流し目で葉山を見やって、
「せやな、デートや」
と言いのける。
てっきり否定されると思っていた葉山は面食らってしまい、目元を掻きながら玄関へ向かった。
そして靴下を履く唯をチラと振り返り、ある不埒な考えが浮かぶ。
「…ユイさん、お願いしたい事あるんですけど」
「なんや…」
「下着、脱いで行ってみませんか?」
「は?お前が?」
「ユイさんが」
「ハァ?…………えーよ」
「あれ、怒らないんですか?」
「怒らす為に言うてんの?ええよ、機嫌ええから。パンツくらい、見えへんしー。なんか考えがあんねやろ?乗ったるよ、プレゼントや」
唯は部屋着のパーカーワンピースの袖から腕を抜きもぞもぞとブラジャーを外し、裾から手を入れてするするとパンツを脱ぐ。
「ふふ♡ありがとうございます。脅さなくても済むのは助かりますよ。考えってほどでは無いですが、色んなことしたくて」
「んー、そう、やね、…あ」
「どうされました?」
「いや、…見えへん?」
「見えませんよ、厚手ですから大丈夫です。さ、行きましょう」
青年のエスコートで、夜のいやらしいデートが始まった。
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