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7月・枯れかけのサキュバス
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しおりを挟む「ユイさんは僕と会ってるときは生理周期…バイオリズムに則って行動してたでしょう?分かりやすかったんですよ。僕のイキ顔だけ見て帰る日有ったけどあれは排卵日か生理日、でしょ?1回記録しておくと、あとは微調整ですよ、毎月多少の誤差はあるでしょうし」
「えぇ…」
「……そうやって気持ち悪がりますけど、バイオリズムを把握してるとお互い良いことあるんですよ?ユイさんの生理中は体を労ってあげられますし、お出かけとか、情緒にも配慮してあげられます。あと避妊も……僕はまだユイさんを妊娠させたくはないですから、危険日には手を出しません…あ…訂正します、挿入はしません」
「はぁ…なんや、うち麻痺してるんかな。有り難いと思てしもたわ…」
「素直で良いじゃないですか♡」
もにもにと持ち上げては胸を弄くり回し、ぼちぼちと言うところにきたのか、葉山はポケットのスキンの箱を手に取った。
しかしすぐにシーツに置き、宮に置かれた自身のネクタイにこっそり手を伸ばす。
「ユイさん…右手、ここ、肩の上に置けます?」
「うん?こうか……あ?」
唯が自身の肩に握り拳を置いたと同時、葉山はその細い手首にネクタイを結んだ。
「なに、」
結ぶと言ってもひばり結び、2つ折りにした紐の輪に両端を通す、ケータイストラップの取り付けなどで使われる簡易的なものだ。
しかしながら当然、いきなり拘束され唯は驚き怒りだした。
「おい!なんや、こういう趣味まで始めたか!?」
「いえ、それもいいですけど…左手も挙げてもらえます?」
「え、挙げたら縛るんやろ?」
「はい」
「挙げるか、ぼけぇ!解け、アホォ!」
唯は尊厳の危機に口汚く抵抗するが、手慣れた葉山は意に介さない。
「口悪いなぁ…いいこと教えてあげようかと思って」
「なによ、ええ事って」
「胸のつかえが取れるような、いい情報です」
嫌な予感はする、しかし良い情報らしい。
「…なあ、縛った後どうすんの」
「解きますよ。僕の情報を聞いたら、ユイさんはきっと怒っちゃうから。怒りが冷めたら解いてあげます」
「?なん?うちにとってええ事なんやろ?でも怒んの??」
取り引きのようで対等ではない、あまりに情報の少ない危険な提案であるが。
「はい。聞くかどうかはお任せします」
唯は少し考え、
「……痛くせんとってや」
とスッと左手も挙げ、頭の上で掌を合わせ拳を握る。
「…はい」
葉山はネクタイの端を左手に回しかけ、右手の結びにも通し、適当にくるくると巻いて通して、両手をガチガチにくっつけ固結びで止めた。
そして唯の正面へ座り直して端にあった夏布団をお腹から下にふんわりとかけてやり、布団の上から足首辺りを撫で回す。
「…ほんで?なんや」
「…ユイさん、」
「うん?」
「青少年愛護条例の違反は、」
「うん」
「時効があります」
俯いたままの葉山はニィと笑い、ここで唯の眉間が険しくなった。
「……何年よ」
「3年です」
やっと顔を上げた葉山は唯の反応を見てソワソワとして、
「す………過ぎてるやんか!おい」
と彼女が怒ればぷはとついに吹き出す。
「はは、般若みたいだな、そうなんですよ。ユイさんを罪には問えないんです」
「ヘラヘラしてんな!解け!」
唯は脚をバタつかせるが、布団ごと葉山が抑えているので立ても蹴れもしない。
「でも、淫行した事実はありますからね、証拠も。僕が告発すれば、社会的に死にますよ。まぁ、最後まで引っ張るつもりやったんですけど、余裕が無くなってきたんで、先に言わせてもらいました。少し流れを繰り上げて、もう挿れたくて」
ニッコリと微笑み、葉山はスキンの箱を今度こそカサカサと開封する。
「いや、ニッコリちゃう…お前、人のこと軽いだ淫行だって…社会的に死ぬとか、うちの事ほんまに好きか……!」
スキンを1枚持って、葉山の目線が顔に戻ってくると、子宮の出口辺りがきゅうっとなった。
「好きです、大好きですよ。体から始まった関係でも、僕はユイさんの性格も考え方も仕事の姿勢も全部好きなんです。お叱りは、解いた後で聞きます。殴っても構いません。でも同じ殴られるなら、抱いておきたいです」
葉山は唯の肩と背中を抱いて寝かせ、
「いいですよ、このまま倒れて。腕は頭の上が楽でしょう」
そう言いながら、布団を剥がしてショーツに手を掛けた。
「お前、好きな女を騙し討ちしようとしたり脅迫したり、腹黒いな。うちにそこまでする価値あらへん…」
自分からスルスルと脚を抜き、唯はそれを足元にぽてっと落とす。
「ご謙遜を。一筋縄でいかない相手でしょ?なんでもしますよ、失礼しますね…」
葉山の準備は万端のようだった。
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