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エピローグ・失策のサキュバス
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しおりを挟む「なぁ、なんでうちに声かけてくれたん?」
「え、いや…」
「他にも女の人はおるやんか、なんで?」
店内にはシングルの男女も点在し、男受けしそうな可愛らしい女性もそれなりにいるのだ。
「浮ついてないというか…落ち着いてて、しっかりしてそうだったから…」
「ほな、イメージとちゃうかったな、うちは真面目ちゃうよ」
唯はニイと歯を見せて笑う。
「…僕の前に、ふざけた男が少し座ってたでしょう?向こうで見てて…その、手振りでなんとなく何を話してるのか分かったんですけど…追い払いながら睨んだ目が毅然としてて素敵だなぁって思っちゃって…すみません」
「……見てたか。ふん、胸の話ばっかりしよるからキレてもうた……目ぇか……Mなんかな?睨まれたい?」
「いえ、そんなことは…笑っても可愛らしいんだろうなって…思って……」
思ったより青年がピュアすぎていい加減な自分には眩しすぎる、唯の突貫の予定が少し狂ってしまう。
「…………純やなぁ、ちぃとちゃうかなぁ……」
しかしそれを穢すのも一興、思い切り上位に立っていじめてみたいとも思った。
「あ、あの遅くなりましたけど僕…葉山、龍といいます」
「教えてくれんの……ほな龍ちゃん、ここ抜けへん?二人で、」
「え、あ…」
初めての出会いの場、噂に聞いたことはあるその文句。
「お姉さんと、イイことせぇへん?」
「は…い、はい!」
唯は自分の席の伝票を持って席を立ち、青年が友人たちへ挨拶をしている間に会計へ向かう。
「あ、僕…」
「ええよ、うちの2杯やから」
男性側に会計を持たせるのがルールではあるが、明らかに学生と分かっている彼に払わせるなど彼女には出来なかった。
魚の方から飛び込んで一本釣り成功、ビジュアルがタイプな分いつもよりドキドキしながら、唯は釣り上げた魚を連れて徒歩でホテルを目指す。
「ホテルも初めてやんな、早いうちに何でも経験しといたらええわ」
「うーん…緊張して…あ、」
青年の腕に唯がしがみ付いて大きな乳を押し付ければ、その弾力に押されて葉山はそれだけで勃起してしまっていた。
唯は身長が153センチ、大抵の男性とは10センチ以上の身長差があるが、葉山と並んで歩くと頭ひとつ分も見上げねばならない。
「自分、背ぇ高いなぁ。180くらいあるか?」
「77くらいですね…」
「ええなぁ、牛乳とか好き?うち好きで飲むんやけど、骨密度と胸に全振りしてもうて、身長には効果無かったわ」
「ぷっ、あはは、いいじゃないですか、可愛らしいです」
唯は自虐混じりの冗談で場を和ませ、葉山は少し年相応の笑い方をした。
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