枯れかけのサキュバス

茜琉ぴーたん

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9月・承服のサキュバス

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「…うちにデレデレのくせして虐めるんが好きで、虐められるんも好きか。んで、うちがデレたら冷めるってか?」

ゆっくり立ち上がって葉山から離れ、ウェットティッシュを携えた唯がリビングから寝室へ戻って来た。

 そして太ももに跨り直して後処理をしながら、葉山リードのセックスが不本意に打ち切られた理由を問う。

「いえ、なんか最中は好き好き言われると…燃えないみたいで…ユイさんに好かれるために追いかけてきたのにな…すみません」

「お前それ、燃え尽き症候群ちゃう?達成感でやる気無くすいうやつ。釣った魚に餌やらんタイプ?うちら結ばれたら終わりかぁ」

「終わりちゃいます!ちょっと、ちょっと萎えただけで…『すき』言うて貰ったのはめっちゃ嬉しかってん…」

「でも勃たへんのはなぁ、お兄さん」

「勃つよ、もう…」

 唯はこちょこちょとウェットティッシュで葉山のモノを掃除しながら、復活の呪文を唱える。

「好きやで、龍ちゃん」

「……ぁー」

 そのまま葉山の手を拾って甲にキスをしてやると、むくむくと元気を取り戻すのが目視で明らかだった。

「良かったわ、不能やったらうちとは住まれへんもん。…せやなぁ、元々はうちが冷たかってんな…ごめんなぁ」

ひと仕事終えた彼女は切なそうに目を伏せ、顔を背ける。

 珍しく弱気なユイの発言に葉山は慌てて飛び起き、その細い肩をがしと掴んですがる。

「やだ、謝らないで下さい、僕は今の関係性でも充分良かったと思ってるんです…」

「うちの危険日には虐め抜かれんのに?」

「…それでもいいですよ…セフレでもいい…僕をニヤニヤして眺めてるユイさんが最高にエロくて好きなんです…鳴かせるのも好きです、たまに恥ずかしがってるのも…あと、…もう全部ですよ…なんだかんだ世話焼きなところも、意外と家庭的だし、仕事熱心なところも、僕は…」

 満足気にニコニコしながら葉山の言い分を聞き、唯が応える。

「ふふ、お前のエロい顔が好きや。うちに追いつくためとはいえ、しっかりと経験を積んで会社に乗り込んできた実力と運も買ってる。何されても尻尾振って付いてくるお前が可愛い。しやのにたまにグイグイ来られるから、面食らって感じてまう。うちを振り回す、食えん感じも好きや」

 それは彼女なりの告白だったのか、葉山はぽうっとして聴いていた。

「もうセフレちゃうよ、龍ちゃん。恋人や」

 葉山は下唇をきつく噛み、目頭の疼きを抑え込むように瞳が宙を泳ぐ。

 そしてユイから迫って口付けをすると、密着したその頬に温かい水滴がこっそりと伝い落ちていった。

「ん♡」

 甘い吐息を挟みながら、二人は浅く深くキスを繰り返す。

 赤い目をした葉山が頬を拭って、思い出したように腰を引いて両手を唯の腰の横に添えた。

「あ、いえ、触れちゃうので、離します」

剥き身の状態で触れ合うのが危ない、と葉山は自衛してくれているのだ。

「ええやん、どうせ明日には生理くるし」

「だ、だめです、さすがにそれは賛成できませんっ」

「うん、触るだけは?寝てよ」

「ほんと、ユイさん、だめ、衛生的にもっ」

 葉山は渋々体を倒しながらも抵抗を見せた。
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