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7月・枯れかけのサキュバス

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「程々にしいや…なんや、あかんな、結局は流されてセックスしてまうわ」

「自分の意思だって認めましょうよ。ユイさんは今夜、自分から僕に抱かれたんですよ」

 唯は大きくため息を吐きまた顔を手で隠して口を開くので、葉山は彼女の髪の毛先をくりくり指で巻きながら耳を傾けた。

「前みたいな生活になりかけてたかな…りゅうちゃんじゃなくても今夜誘われたらシてたかな」

「…そうじゃないと思いたいですけど……ユイさんはね、性に奔放ほんぽうなんじゃなくて、性に無頓着むとんちゃくなんですよ。だから、髪伸びたから美容院行こーみたいな軽い感じでできるんですよね。でも理性で抑えてたし、危うきに近寄らずな感じは見受けられましたよ。誰とも寝てないって言いましたけど、僕と4月に再会するまで、発情することありましたか?」

「いや…龍ちゃんと別れてからいろいろ…周期が崩れて…セックスしたいとも思わへんかったな…ぼちぼち彼氏でも作ろか思てたくらいで。やっと生…いや何でもない」

「ん?僕が来てから、生理周期が戻ったんでしょう?そこは把握してますよ」

「うん、変態」

「僕に合わない間は、ホルモンバランスが崩れてたんでしょう?で再会して整ったんでしょう?どういうことかわかってるじゃないですか。ユイさん、僕と居ることが生活の一部みたいになってたんですよ。会えなくて体が不調を訴えるくらいにね」

「そこまで大袈裟おおげさな事やないよ…」

 そう言い唯が顔を背けるので、葉山はその両手を捕まえて尋問じんもんにかける。

「じゃあ、僕なしでの生活、もう一度試してみますか?」

「えっ」

 不安そうに振り向き、それを見越していた葉山は彼女をしっかりと見つめてキスをした。

「嘘です♡離しませーん」

「あ、そ…」

もう一度顔を逸らし、彼女は男に隠れて今度は安堵のため息を吐く。

「それより、禁煙したんですか?前は終わったら1本吸うのが恒例でしたが」

「…いや、ほぼ辞めてる。でも飲み会とかでたまに…あと、ストレス感じると、吸いたくなんねんなぁ」

「完全に、辞めましょうね。いずれ僕の子供を産んでもらう大事な体ですから」

「は?」

「ガムとか噛みましょう、約束です。淫行コーナー長」

青年は野望を告げた唇を何度も何度も愛しいひとの口へと運んだ。

「………この性悪が」

「僕をここまで歪ませたのはユイさんですよ。責任取って下さい。いたいけな16歳の童貞を奪い、性欲処理の道具として跨がり続けたんですから」

「言葉を慎めよ。呼んだら嬉々として来とったやないか」

「もー、いいですね!」

 これ以上は水掛け論、どうせ葉山は退かない…唯は白旗を上げる。

「わかったわかった」

「よし、ではシャワー浴びて、2回戦ですね」

「は」

「しばらくは正常位を極めましょう。目指せ、中イキですよ。…経験したこと無いでしょう?」

「………ナイケド」

「製造責任ですよォ、ユイさん♡末長くお願いしますね」

 参った、こんなヤバい奴だと知っていれば手を出さなかったのに、唯はそう思うがもう遅い。

 葉山の言う通り、こう育ててしまったのは他ならぬ唯自身なのである。


 二人はベッドに横たわりながら、繋がりながら、食事をしながら、空白の3年間のエピソードなどを少しずつ共有していった。

「もう少し接客中の言葉を崩されてもいいんじゃないですか。ぴっちりし過ぎだから疲れるんですよ。僕は京都訛りの女の人好きだなぁ。あとお化粧も少し色を変えるとか、ほんわかさせましょうよ」

「んー…不快に感じる人も居ってかもしれんし…」

「少しずつ、ユイさんが楽な様にしていきましょうよ」

「うん…いや、ここ最近のストレスはお前が来たからやってんけどな」

「ひど~い、ふふ♡さ、食べ終わったらもういっちょ励みましょうね」

「…ぉー」




 
 そしてこの翌日、喫煙所での一件へと話が戻るのだ。

 喰らい付いたら離さない、葉山との熱い日々が始まってしまった。



つづく
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