お嬢の番犬 ピンク

茜琉ぴーたん

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ピンク

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「あ、もしもし、旦那さん、和久わくですー、今垣内かいちに聞いてきましたわ。…変わってへん、お嬢を嫁に貰うつもりでおりまっせ…他の男には渡さへんて、見合いなんかさせへん言うてましたわ…誰も見合いなんかセッティングせぇへんのにね、プププ…ええ、しやから…順調ですよ、ちゃんと…引き続き見守る言うてます。えぇ、はいー…失礼します………よし、」

「旦那さんに電話?」

「うん、定期連絡というか…数ヶ月毎に酔わせて聞き出すんよ。お嬢のことどれくらい真剣なんか……ん、ミユキ、乾杯しよ」

和久は自室で妻とミッション成功をお茶で祝う。


 この屋敷の公然の秘密、それは【みやびが垣内へ幼い恋心を抱いていること】、そして【垣内が雅に惚れている事を皆が知っている事】だ。

 そして神石じんせき家使用人の中で引き継がれるルールは【それを本人に悟らせないよう見守る事】…つまりは垣内と雅の恋模様を黙って見守ることが、近年の雇用契約書の最後の行にもこっそり記されているのだ。


「垣内なぁ、バレバレやから…昔からな、気付いてへんのはお嬢本人だけやろなぁ…ほほほ」

 可愛がるだけなら家族、手を出したいとなると即刻解任、垣内は雅の婿に相応しいかどうか、こうして自覚も無しに聞き取りを受けているのだ。

 今回の回答は肉親からの評価も高かった、このまま順当に行けば垣内は雅への告白を許されることだろう。
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