お嬢の番犬 ピンク

ピンク

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「待て、おい…和久わくっ、」

「お嬢、トッピング落とさんとってや、」

「うん、気ぃつける…和久、柑橘と苺、どっちにする？」

「選んでええの？んー、じゃあ柑橘かなー」

「じゃあうちが苺ね」

「和久！おい！聞いてんのかァ！」


　２区画は離れた位置のコインパーキングまで３人(２人)は走り、和久はスイミングスクールのある隣町へ向けて車を発進させた。

　さすが日頃の鍛錬の成果か、雅を抱えて走ったと言うのに息が乱れていない。


　一方垣内かいちは後部座席へ隠れるように乗り込み、運転席のヘッドレストを掴んでゼェゼェと息を吐く。

「お、お前ら…、…、…何２人だけで逃げとんねん…、俺だけ…、捕まるとこやった…」

「すまん」

「ごめん」

もっしゃもっしゃとクレープを片付けながら、２人は口々にシンプルな謝罪の弁を述べた。

「大体な…、…、…お嬢が、行け言うからやな…、俺は…」

「タバコ、拾った？」

「あ？あぁ…、拾わせたよ…」

「良かった。街はキレイにせんとな」

「うん…、せや、靴、焦げてへんか？」

「大丈夫…火は届く前に消えとったと思う」

「さよか…しやったら…ええわ…はー、………………なァ、俺のクレープは？」

「すまん」

「ごめん」

「……………」