お嬢の番犬 ブルー

茜琉ぴーたん

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「なにしてんねん…誰にされたんや…教師か?」

「ちゃう………ちょっと、ちょっと……高等部のお姉さまと…仲良うしてただけやの…」

「女か……それでもあかんよ、子供のする事ちゃう」

「お姉さまは大人やもん……どんなもんか知りたくて…」


 友人を介して紹介されたお姉さまと会話を楽しんでいるうちに不思議な雰囲気になり、手を握られたのが始まりだった。

 次第に頬や耳、脚や腰に触れられ…遂に胸元に唇を付けられたのが今日の話である。

 それはお互いの好奇心からの幼稚な行為、同世代の男子を知らずに生きてきた乙女の疑似恋愛体験だった。


「相手が女子なんはまぁええわ、でも早過ぎる。お嬢の歳でそんな事シたらあかん」

「子供やないもん、」

「子供じゃ、街中で小便漏らすガキが何言うてんねんな」

みやびの心情をおもんぱかって和久わく垣内かいちにバレてないように動いてくれたのに、男は勢いに任せて周知であることを明かしてしまう。


「………しやったら何歳ならええの」

唇を噛んだ彼女はそう呟いて垣内の胸へ飛び込み、くたくたのトレーナーをぎゅうと握り締めた。

「何歳て」

「はや兄は……色んなことシてるやん、うちやアカンの?うちが大人になったら付き合うてくれる?」

「…!」

ついに来たか、淡い恋心だと思って好きにさせていたが、こうも突き付けられれば答えを出してあげねばならない。


「付き合わへん……お嬢は娘や」

「本当の親子やないやん、はや兄は世話役、なんでうちや…アカンの?ずっと…ずっと…好きやのに…」

 あまりに年上に抱いた幼い恋心は何処かでこじれ、彼と対等になるために気持ちばかり先走ってしまっていた。

 そしてそれは自分の気持ちを押し付けるばかりで相手がどうかなど考えてはいない、やはりお子様の恋なのである。
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