19 / 27
19
しおりを挟む「なにしてんねん…誰にされたんや…教師か?」
「ちゃう………ちょっと、ちょっと……高等部のお姉さまと…仲良うしてただけやの…」
「女か……それでもあかんよ、子供のする事ちゃう」
「お姉さまは大人やもん……どんなもんか知りたくて…」
友人を介して紹介されたお姉さまと会話を楽しんでいるうちに不思議な雰囲気になり、手を握られたのが始まりだった。
次第に頬や耳、脚や腰に触れられ…遂に胸元に唇を付けられたのが今日の話である。
それはお互いの好奇心からの幼稚な行為、同世代の男子を知らずに生きてきた乙女の疑似恋愛体験だった。
「相手が女子なんはまぁええわ、でも早過ぎる。お嬢の歳でそんな事シたらあかん」
「子供やないもん、」
「子供じゃ、街中で小便漏らすガキが何言うてんねんな」
雅の心情を慮って和久は垣内にバレてないように動いてくれたのに、男は勢いに任せて周知であることを明かしてしまう。
「………しやったら何歳ならええの」
唇を噛んだ彼女はそう呟いて垣内の胸へ飛び込み、くたくたのトレーナーをぎゅうと握り締めた。
「何歳て」
「はや兄は……色んなことシてるやん、うちやアカンの?うちが大人になったら付き合うてくれる?」
「…!」
ついに来たか、淡い恋心だと思って好きにさせていたが、こうも突き付けられれば答えを出してあげねばならない。
「付き合わへん……お嬢は娘や」
「本当の親子やないやん、はや兄は世話役、なんでうちや…アカンの?ずっと…ずっと…好きやのに…」
あまりに年上に抱いた幼い恋心は何処かで拗れ、彼と対等になるために気持ちばかり先走ってしまっていた。
そしてそれは自分の気持ちを押し付けるばかりで相手がどうかなど考えてはいない、やはりお子様の恋なのである。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
命を狙われたお飾り妃の最後の願い
幌あきら
恋愛
【異世界恋愛・ざまぁ系・ハピエン】
重要な式典の真っ最中、いきなりシャンデリアが落ちた――。狙われたのは王妃イベリナ。
イベリナ妃の命を狙ったのは、国王の愛人ジャスミンだった。
短め連載・完結まで予約済みです。設定ゆるいです。
『ベビ待ち』の女性の心情がでてきます。『逆マタハラ』などの表現もあります。苦手な方はお控えください、すみません。


【完結】あわよくば好きになって欲しい(短編集)
野村にれ
恋愛
番(つがい)の物語。
※短編集となります。時代背景や国が違うこともあります。
※定期的に番(つがい)の話を書きたくなるのですが、
どうしても溺愛ハッピーエンドにはならないことが多いです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
影の弾正台と秘密の姫
月夜野 すみれ
恋愛
女性に興味がなくて和歌一筋だった貴晴が初めて惹かれたのは大納言(上級貴族)の姫だった。
だが貴晴は下級貴族だから彼女に相手にされそうにない。
そんな時、祖父が話を持ち掛けてきた。
それは弾正台になること。
上手くいけば大納言の姫に相応しい身分になれるかもしれない。
早くに両親を亡くした織子(しきこ)は叔母の家に引き取られた。叔母は大納言の北の方だ。
歌が得意な織子が義理の姉の匡(まさ)の歌を代わりに詠んでいた。
織子が代詠した歌が評判になり匡は若い歌人としてあちこちの歌会に引っ張りだこだった。
ある日、貴晴が出掛けた先で上の句を詠んだところ、見知らぬ女性が下の句を詠んだ。それは大納言の大姫だった。
平安時代初期と中期が混ざっていますが異世界ファンタジーです。
参考文献や和歌の解説などはnoteに書いてあります。
https://note.com/tsukiyonosumire/n/n7b9ffd476048
カクヨムと小説家になろうにも同じものを投稿しています。

だいたい全部、聖女のせい。
荒瀬ヤヒロ
恋愛
「どうして、こんなことに……」
異世界よりやってきた聖女と出会い、王太子は変わってしまった。
いや、王太子の側近の令息達まで、変わってしまったのだ。
すでに彼らには、婚約者である令嬢達の声も届かない。
これはとある王国に降り立った聖女との出会いで見る影もなく変わってしまった男達に苦しめられる少女達の、嘆きの物語。

人生を共にしてほしい、そう言った最愛の人は不倫をしました。
松茸
恋愛
どうか僕と人生を共にしてほしい。
そう言われてのぼせ上った私は、侯爵令息の彼との結婚に踏み切る。
しかし結婚して一年、彼は私を愛さず、別の女性と不倫をした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる