猫だって……恋、するよ。

茜琉ぴーたん

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「処分というか、寄付したとしか」

「うん…うち、もう飼う気が無い方のね、おトイレとか餌とかオモチャとか、引き取って処分するサービスしてるの。ゴミで捨てるの、飼い主さんには酷でしょ?知り合いの神社でお焚き上げしてもらったりするんだけど…玲二くんのお父さんがうちに持ち込んでくれて…まだ使える物は再利用してって言われてたからトイレは洗って予備に使ったり…首輪は同じモデルがあったから店から拝借しちゃった」

「……」

「細かい情報はね、ペットロス解消セミナーで伺ったの。ご両親で参加されてね、カシャちゃんと玲二くんの様子とか…だから断片的にしか知らなかった。玲二くんがカシャちゃんのことを可愛がってる、でも懐いてないって言われてて、それを信じちゃった…兄弟構成も知らなかったし。だからボロが出たね…ごめんなさい」


 なるほどうちの飼育環境は親から伝わったのか。

 そして親の目から見ても俺はカシャに袖にされ続けてる印象だったらしい。

 機嫌と都合の良い時にだけ触れ合えるまるで高嶺の花だ、そして同衾どうきんした一夜も親にはバレていなかったようだ。

 まぁバレてたとしても14年のうちの一夜は当たり前に可愛がらせてもらえる親からすると珍しいことでもなかったろうし…人に話すようなトピックでもなかったのだろう。

 さて彼女の素性が分かったところで残る疑問は、事の発端となったペットショップでのナンパについてだ。

「そんで今日は…何で俺に声掛けたんだ?」

「…元気が無さそうだったから。あたしね、玲二くんのお店で買い物するからさ、たまに見かけるんだけど…カシャちゃんが居なくなってから顔色が悪くて…気に掛かってたの。でも『隣のペットショップの者です、ご愁傷さまです』なんて仕事中に言ってもポカンだろうし」

「まぁな」

 うちは家電量販店ムラタ、俺はそこでパソコンの設定なんかのサービススタッフをしている。

 営業や販売がメインではなく作業がほとんどで、受け渡しの際には客と対面するがそこそこの愛想で乗り切っている。
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