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おまけ・浩史の懐古
前編
しおりを挟む時は2008年、新緑の頃。
美晴は21歳、俺・浩史は30歳になったばかりの頃の話。
俺が一世一代のプロポーズをした時の、断片的な記憶だ。
二人が同居を始めて2年目が過ぎようとしているとある日の昼間、両親不在を良いことに美晴は俺へ迫っていた。
「ねぇ、浩史くん、おフェラ、しても良い?」
「やだ」
俺はゲーム機のコントローラーから右手を外し、近寄って来る美晴の小さな頭を掴む。
口淫なんてされる分にはご褒美だと思うのだが、元カレにもしていたと聞いているので気が乗らない。
奴は短小で早漏でスタミナの足りないヘタレだった。
しかし性欲だけは一端に溜まるので、美晴の手や口を良いように使っていたのだという。
「イヤ?気持ち悪い?」
「…して欲しくない」
「でも、してあげたいんだもん…」
美晴は申し訳なさそうに、自身のもこもこの上着の裾を引っ張った。
元々、今日は揃って休みなのでデートを楽しんでホテルへしけ込もうと計画していた。
しかし予定よりも早く美晴に生理が来て、急遽家で過ごすこととなったのだ。
美晴は生理周期が乱れることが多く、活動も鈍くなるために休ませている。
そもそも、元カレと別れるキッカケになったのもこの生理不順のせいなのだが…いやこれはおかげと呼ぶべきか。
ともかく冷えも体に悪いから厚着をさせて、なるべく暖かくするよう伝えている。
「要らんこと考えずに、寝てろ」
「ぶー…お願い、イチャイチャしたいの」
「調子の悪い時にして欲しくない」
美晴は自分のせいでセックスが出来なくなったことを悔いており、性的なサービスで俺に償おうとしているのだ。
そんなことを頼んでもいないし、それで喜んでいたら俺は鬼畜じゃないか。
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美晴は「むー」と俺の手を頭から剥がして、
「じゃあ、おっぱい触る?」
と胸に持って行こうとする。
「美晴、そんなこと頼んでない。大人しくしてろ」
「やだ、役に立ちたいんだもん…」
「あのな、体調不良の彼女にフェラさせたり体触ったり、俺にそんな男になれって言ってんのか、見縊るなよ」
「…ごめんなさい」
しょぼんと顔を伏せた美晴は、尻を引き摺って俺の後ろのパイプベッドに上った。
すんすんと鼻を鳴らして、どうしてか俺の方が悪い気持ちになる。
「(解せぬ)」
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