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Capitolo13…Sono piena.
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しおりを挟むそしてその夜。
夕食をご一緒してから先生のアトリエへ、僕はいつも通り自慢の裸体を開放してカリカリと心地良く鳴る鉛筆の音を聴きながらポーズを取った。
今回は東京のクラブだかバーレスクだかのオーナーさんからの依頼、客の気分を盛り上げるよう床に座ってV字開脚を華麗に決める。
「大丈夫?」
「…鍛えて、ますから…」
「そう、さすがね…ふー、今日はこんなもんかしら…お疲れさま」
「あー、腹筋が死ぬ…はー、疲れた…随分と挑発的なposeですね、芸術品の域を超えてると思います」
「確かにね、でもこういうのが良いんですって。マネキン飾るより官能的で良いでしょ」
確かにそうだろうが先生は芸術家であってポルノ作家ではない。
明らかに妖しげな目的で飾られるのはモデルの僕としても本意ではない。
暗がりにミラーボールで照らされた僕は卑猥で美しいだろうけど、先生が手と石の色で表現する筋肉の質感だったり表情の情感だったりがきちんと鑑賞されないのは口惜しいものだ。
「僕は先生の作品をエッチな目で見て欲しくないんですが」
「あら、ラッセルくんの裸体があってエッチな目で見ないなんて無理でしょ…ありがとうね、ポーズはまたここから練ってみるわ。今日はこれで終わりにしましょ」
ふふと笑ってスケッチブックを閉じたらもう終業の合図だ、
「あ、朱鷺子さん、」
と鉛筆で汚れた白い手を取ると彼女は黒目を小さく絞って挙動不審になる。
「なに?いきな、り…あ、」
「もう終業…kiss、しても良い?」
「え、良いけど」
「ん♡」
僕はあの日…朱鷺子さんが素直になったあの日から、仕事終わりにこうしたスキンシップを取るようにしている。
彼女は毎回「抱かれるのかしら」と体を強張らせては「違うのね」と期待外れみたいな表情でしょんぼりする。
でも数年引き延ばした負い目があるし自分から誘って一度断られているから、肩透かしを食らっても表立って怒ったり拗ねたり出来なかったみたいだ。
今夜だって誘い受けみたいに僕をここへ呼んで悪いひとだ。
準備も万端みたいだし襲い掛かるのは男の仕事さ、セックスくらいは僕の思い通りに運ばせてもらう。
「ん、ン…あ、なに、あ、んッ…」
「ぷはァ…見て、糸引いてる…朱鷺子さん、エッチ♡」
「何なのよ、なに…え、今日?」
「うん、すっかり元気になったし。今日試着してた新しいsuits、すごくキレイだし脱がしたくてウズウズしてたんだ…なに、この前は自分から迫ったのに照れちゃって」
勘違いしないで、僕は貴女が誘ったから乗るんじゃない。
貴女が食べ頃になったから僕の意志で戴くんだ。
できれば恥はかかせたくない、だからあくまで仕掛けたのは僕ということにしておこうよ。
着慣れたスーツのボディーラインに手を這わせると彼女は生娘みたいにぴくぴく震える…まぁ僕は処女を抱いたことは無いんだけどね。
「だって、だって…あれから何も…キスしかしてくれないから…体良くあしらわれたんだと思って…諦めて…」
「言ったじゃん、朱鷺子さんはまだ僕のズリネタだよ、本当…ほら、見て♡」
「わぉ」
お忘れではないだろう、僕はまだ裸のままだ。
いきり立った男性のシンボルはポージング中よりも立派に天を向いている。
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