46 / 74
Capitolo9…Complimenti
46
しおりを挟むシラトリさんは僕に固執し始めてる、でも
「…それpropose?」
とジョークのつもりで尋ねたら
「え、何で?辱めちゃったあなたの人生を責任持って評価して保障するって言ってんのよ」
と大きな目をまん丸にしてキョトン顔で返す。
僕はもう僕とシラトリさんのセットでひとつの作品みたいなことか。
『シラトリ』と言えば『青年の裸像』、それを僕自らが管理することで契約先を決定したり価格を設定したりできる訳だ。
「…早めに言ってくれれば学芸員の勉強とかもしたのに」
「美術そのものの知識はそんなに要らないわよ。まぁ管理とか扱い方とかは覚えてもらうけどね。経理は専門がいるし…作品の評判が上がって本職の方も少しずつ上向いて来てるの。新しいデザイナーさんも雇えそうだし…当初はね、うちの学科から青田買いで確保しようと思ってたの、だからオープンキャンパスとか学祭の学科展にもちょくちょく顔出してたの。でも思いの外個人の制作が波に乗っちゃったから、マネージャーも雇おうかなって……肖像権って訳じゃないけど、私を世に出してくれたあなたへの恩返しよ。レオくんというモデルの使用料だと思ってくれても良いわ…ごめんなさいね、お金でしかお返しできなくて」
「はぁ……良いよ、でも更に良からぬ噂が立ちそうだな。マジ愛人、とか」
「これ以上変な噂は無いでしょ。とりあえずOKってことで良いわね?よーし、就職おめでとう!レオくん!乾杯しましょ‼︎」
シラトリさんは冷蔵庫に用意していたグラスと炭酸飲料を取り出して、勢い良く缶を開封する。
僕がOKすることは織り込み済みだったんだ。
見たことないその輸入コーラは毒々しい赤色をしており、グラスの縁からしゅわしゅわと飛沫を飛ばしていた。
「わーい……あの、服着させて」
「知ってる?イタリアとかフランスでは乾杯の時『チンチン』って言うらしいわよ?」
「もー下品!」
「ほらレオくん、ちんちーん!」
「ちんちん……やだ、こんな社長…」
いつからか僕は大人になってシラトリさんは小学生くらいのメンタルに退行してるみたいだ。
冷えたグラスを合わせて「チンチン」を連呼し合う異様な光景は誰にも見せられないなと思った。
ちなみにだが…自宅に帰り父親に就職が決まったことを伝えたらそれはそれは喜んでくれて、けれどイタリア系アメリカ人の父は乾杯には
「Congratulazioni!」
と聞き慣れない言葉を用いていた。
父は日・英・伊のトリリンガルだけどこういうお祝い事の掛け声なんかは母語のイタリア語が出るのだ。
詳しく聞けば乾杯にもそれなりに種類があるそうだ。
祝杯だったり献杯だったりと用途で分けるそうだが、「一般的なのもあるでしょ」と問えば「やだネ、日本でCin Cinって言いにくいじゃナイ」と柄になく照れていた。
つづく
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
保健室の秘密...
とんすけ
大衆娯楽
僕のクラスには、保健室に登校している「吉田さん」という女の子がいた。
吉田さんは目が大きくてとても可愛らしく、いつも艶々な髪をなびかせていた。
吉田さんはクラスにあまりなじめておらず、朝のHRが終わると帰りの時間まで保健室で過ごしていた。
僕は吉田さんと話したことはなかったけれど、大人っぽさと綺麗な容姿を持つ吉田さんに密かに惹かれていた。
そんな吉田さんには、ある噂があった。
「授業中に保健室に行けば、性処理をしてくれる子がいる」
それが吉田さんだと、男子の間で噂になっていた。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
今日の授業は保健体育
にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり)
僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。
その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。
ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。
女ハッカーのコードネームは @takashi
一宮 沙耶
大衆娯楽
男の子に、子宮と女性の生殖器を移植するとどうなるのか?
その後、かっこよく生きる女性ハッカーの物語です。
守護霊がよく喋るので、聞いてみてください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる