僕たちが幸せを知るのに

茜琉ぴーたん

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Capitolo5…Miniere

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「じゃあ受験生か」

「うん…シラトリさんが先生ならここ受けようと思ったのに」

「あらあら…不純ねぇ」

「何だって良いんだ、死なない程度に生きていられるだけの経済力があれば…そのためにはとりあえず大卒の肩書きは欲しいから」

「ふーん…」

 カチャカチャとベルトのバックルを外して呼吸が楽になる。

 仰向けになり下も全部脱いでフルヌードで妖艶な裸婦の如くソファーへ横たわった。

 モノは下向きにぷらんと垂れて太ももにちょんと先が当たる。

 側位そくいで片膝を立てればまるでポルノ男優みたいな気分でたるんだ目つきに生気が宿った…気がする。


「ドーゾ、キレイに描いてね」

「ありがと……均整が取れたいい身体ね」

「興奮する?」

「残念ながら…モデルさんにそんな気持ちは抱かないわ。石膏せっこう像と同じよ……ん…顔、もう少しこっち、そう…カッコいいわ」

 僕を測るその瞳にゾクゾクする、お世辞だろうと褒められれば嬉しい。

 ここ最近はシラトリさんにご執心だったからめっきりご無沙汰なんだ。

 今日のラフなポロシャツとジーンズもなかなか良いね…潤った喉がごきゅんと鳴って元気が起ち上がってきた。

「触りたくならない?」

「さっきも言ったでしょう、セックスに関心が無い女だっているのよ…レオくん、勃たせないで」

「シラトリさんがsexセックスとか言うから」

「あなた、そんなことばっかり考えてるの?」

「そうでもないけど…シラトリさんを探したのはほぼそんな…気持ちだよ。雲隠れされて悔しかったし…チンコの絵描かれたのに身元不明だし怖かったし」

「身元が分からない相手にペニス見せちゃダメよぅ」

「そうだけどさ、あんたが言うなよ。元々が好みでナンパしたんだから……悔しくて…会いたかったんだ…」

 すんなり初日でセックスしていればここまで執着しなかったはずさ、逃した魚だと思うからその味が気になったんだ。

 イヤよイヤよで手籠てごめにして具合を確かめて、それがどんなに不味かろうが僕は去り際まで紳士然と振る舞ってお姉さまを淑女レディーとして返すことができると自負してる。

 だからシラトリさんがどんなにマグロだろうがガバガバだろうが二人で居る間はけなしたり自信喪失させるような表情だってしない。

 いつだって誰にだって「貴女はこれまでの女性で一番だよ」と囁くようにしていた。

 でもシラトリさんは下品に振る舞って…これはこの人の本性かもしれないけど…抱く気をいで裸も見てさらに逃げたから僕は追わざるを得なかったんだ。

 もったいぶるから貴女の価値は僕の中でどんどん高騰していくんだ。

 実に腹立たしくて…ワクワクする。


「ふーん…つまりは私が下手に逃げちゃったから君の狩猟本能を刺激しちゃった訳ね。私もまだまだ捨てたもんじゃないわね」

「だから言ってるじゃん、シラトリさんは超美人、好みだから…抱きたかった」

「都合良く抱かれるなんて勘弁よ。身勝手な子ね」

「双方の同意の元に、だよ…そこそこ若いお姉さまにはちゃんと避妊もするし」

「……」

鉛筆を持つ手がピクとうずいて止まる。

 シラトリさんは芯の先でスケッチブックを数回ノックしてまた描き始める。

 何か不機嫌スイッチを押してしまったかな、ホルモンバランスとかのせいかな。

 なんて理解のある風を装いつつ

「シラトリさんも…まだ生理あるでしょ?妊娠したら困るだろうしきちんとすることはするつもりだったよ。下品なことばっか言うから萎えて捨て台詞みたいに言っちゃったけど」

とフォローしたつもりだったがそれきり彼女の手は止まり、その美しい瞳がギンと丸腰の僕を睨んだ。
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