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Capitolo3…Perdita di perdita
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しおりを挟む「そうだ…学食、」
あの情報通なお姉さまなら何か知ってたりして、僕は事務棟から中央広場の学食へと走った。
混み合った学食の券売機の列へと並び、あのお姉さまのいるコーナーを使えるメニューを一覧から探す。
今日の日替わりは天ぷらうどんだそうで、しかしそれでは『麺類』コーナーになるので『おかず』コーナーに誘導されるであろう竜田揚げ定食をチョイスした。
「こんにちは」
「あら」
三角巾とマスクに割烹着のお姉さまは気泡を上げる鶏肉の油の前から動こうとせず、こちらを見てジェスチャーで挨拶だけくれる。
日替わりの天ぷらもどうやらこちらで揚げて麺類コーナーへ運んでいるらしく、発注を知らせる電子音が数秒おきに鳴ってやかましかった。
「あの、シラトリさんって知りませんか?」
「んー?」
「シラトリっていう、キレイな熟女、知りません?」
僕の声は業務用換気扇や跳ねる油の音、そして群衆の声に紛れて上手くお姉さまへ届かない。
「ごめん、ちょっと聞こえない…はい、エビ天…」
「はい竜田揚げ定食ね」
「あ、どうも…」
配膳担当の別のお姉さまがほかほかのプレートと味噌汁を台へと置いてくれる。
後ろも詰まって来ているしで粘ることができず茶碗を取りテーブルへと移動した。
「(空いてる時にまた来ようか…)」
厨房のお姉さまに聞いたって彼女が答えを持っているとも限らない。
ならば自分の足で探した方が無駄が無いのかもしれない。
僕は今さらだがスマートフォンのカメサンのホームページを開いて教職員一覧を見てみたが、フルネームと担当と学位なんかが掲載されているだけで該当も無く顔写真も無かった。
デザインモデリング学科に限らず全学部学科を閲覧するも似たような名前の人は居ない、分かったのは創始者と現学長の顔だけだ。
「詰んだ」
良いんだよ別に、きっと逃した魚が美味いだろうと思い込んでるから執着してるだけでシラトリさん自体にこだわる理由なんてそんなに無いんだ。
あれくらいの美熟女なんてその辺にざらに居るさ、突出した美人じゃない。
まぁ綺麗で好みだったからシラトリさんをナンパしたんだけどさ。
助けてもらって絵のモデルをしただけの仲、でもできればあの顔が羞恥に染まるところを見てみたかったな。
これは歪んだ欲求であって恋愛のあれこれではない。
しかし喪失感が酷いんだ、そしてメラメラと闘争心が燃える。
これはタダで裸を見られてガキ扱いされた悔しさによるものに違いない。
僕はゆっくりじっくりと竜田揚げ定食を味わってトレイを返却して、おかずコーナーをちらと覗くも交代したのか情報通お姉さまの姿は見えなくなっていた。
「(こっちもか…ついてないな…)」
姉はクマさんとよろしくしてるだろうし閉会時間に落ち合えばそれで良いはず、ならばもう少し探索してみようかと食堂の空いている席へ座り直す。
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