32 / 73
Capitolo6…Ammissione
32
しおりを挟むイライラしたり不安になったりはあってもそれが哀しみに繋がることなんて無かった。
ストレスは性欲に切り替えて発散できたしそもそもそんなに僕は感情が動くタイプじゃなかった。
表立って悪事を働いたことなんて無いしむしろ褒められるような良い子ちゃんをしてたんだ。
こんなに人から嫌悪をぶつけられることなんか無くて、それを引き起こしたのが自分自身ということが信じられない。
「いいわよ、悪意じゃないもの…無知だっただけ、ね、」
「ごめんなさいっ…僕、あ、ひグ」
「息をしなさい、座って、」
さっきまで僕が裸で寝ていたソファーへシラトリさんは蒼白な僕を押し戻し、隣に掛けて背中を摩ってくれる。
無様だ、涙を流して鼻を垂らして、こんなことをして「泣き落とし?小賢しいのね」なんて言われたら立ち直れない。
「ごめんなさ…い、無神経なこと、たくさんっ…でも、シラトリさんのこと、好きになったのは本当なんだ、それは本当、」
「ナンパしたんだものね、それは信じるわ」
「会えなくて、行方が知れなくて寂しくて…躍起になって張り込みまでして探して…傷付けたくて探したんじゃない、負かしてやろうなんて思ってない、」
「うん、分かってるわよ」
カッコつけて飄々と生きてるつもりだった。
でも知らず知らず人を貶めてたんだ、自覚が無いのが一番始末が悪い。
そういやクマさんにも酷いこと言っちゃった、年下だからって生意気程度で済ましてくれたけど本心はどうなんだ。
やることなすこと全てが人を小馬鹿にしてたんじゃないか、いつにない憂苦に息切れまで起きてきた。
「惹かれ、てて、それを、悔しいっていう、理由で…正当化して、でも今罪悪感でいっぱいなんだ、ごめんなさ…僕、シラトリさん以外にも傷付けてきたのかもしれない、どうしよう…」
「繰り返さないように心掛ければ良いじゃない…レオくんは大人になったの、馬鹿なガキは返上よ…私もキツく言い過ぎたわ、ごめんなさいね」
「シラトリさんは悪くない、僕が、僕が…」
ひゅうひゅうと喉が鳴って有酸素運動をした後みたいに肩が呼吸に合わせて上下する。
流れた涙は頬の上に筋だけ残して消えて、シラトリさんは
「…お茶、飲む?」
と新しいペットボトルを出してくれる。
ひんひん泣く僕は鼻を鳴らしながらありがたくそれを飲んで、シラトリさんは情でも湧かせてくれたのか僕の肩を抱いてぽんぽんと柔らかい手で宥めてくれた。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる