僕たちが幸せを知るのに

茜琉ぴーたん

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Capitolo6…Ammissione

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 イライラしたり不安になったりはあってもそれが哀しみに繋がることなんて無かった。

 ストレスは性欲に切り替えて発散できたしそもそもそんなに僕は感情が動くタイプじゃなかった。

 表立って悪事を働いたことなんて無いしむしろ褒められるような良い子ちゃんをしてたんだ。

 こんなに人から嫌悪をぶつけられることなんか無くて、それを引き起こしたのが自分自身ということが信じられない。

「いいわよ、悪意じゃないもの…無知だっただけ、ね、」

「ごめんなさいっ…僕、あ、ひグ」

「息をしなさい、座って、」

さっきまで僕が裸で寝ていたソファーへシラトリさんは蒼白な僕を押し戻し、隣に掛けて背中をさすってくれる。

 無様だ、涙を流して鼻を垂らして、こんなことをして「泣き落とし?小賢しいのね」なんて言われたら立ち直れない。


「ごめんなさ…い、無神経なこと、たくさんっ…でも、シラトリさんのこと、好きになったのは本当なんだ、それは本当、」

「ナンパしたんだものね、それは信じるわ」

「会えなくて、行方が知れなくて寂しくて…躍起やっきになって張り込みまでして探して…傷付けたくて探したんじゃない、負かしてやろうなんて思ってない、」

「うん、分かってるわよ」


 カッコつけて飄々ひょうひょうと生きてるつもりだった。

 でも知らず知らず人をおとしめてたんだ、自覚が無いのが一番始末が悪い。

 そういやクマさんにも酷いこと言っちゃった、年下だからって生意気程度で済ましてくれたけど本心はどうなんだ。

 やることなすこと全てが人を小馬鹿にしてたんじゃないか、いつにない憂苦に息切れまで起きてきた。


「惹かれ、てて、それを、悔しいっていう、理由で…正当化して、でも今罪悪感でいっぱいなんだ、ごめんなさ…僕、シラトリさん以外にも傷付けてきたのかもしれない、どうしよう…」

「繰り返さないように心掛ければ良いじゃない…レオくんは大人になったの、馬鹿なガキは返上よ…私もキツく言い過ぎたわ、ごめんなさいね」

「シラトリさんは悪くない、僕が、僕が…」

ひゅうひゅうと喉が鳴って有酸素運動をした後みたいに肩が呼吸に合わせて上下する。

 流れた涙は頬の上に筋だけ残して消えて、シラトリさんは

「…お茶、飲む?」

と新しいペットボトルを出してくれる。

 ひんひん泣く僕は鼻を鳴らしながらありがたくそれを飲んで、シラトリさんは情でも湧かせてくれたのか僕の肩を抱いてぽんぽんと柔らかい手でなだめてくれた。
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