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Capitolo6…Ammissione
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しおりを挟むある程度描けたところでシラトリさんは鉛筆を置き、カメラに持ち替えて数枚写し、
「よしでーきた。お終いにしましょう」
とスケッチブックの上へそれを置いた。
「うん」
「服、着てね…作品はいつになるか分からないわ。近くの美術館の館長さんが現代美術とかに特に造詣の深い方でね、大きめの作品を作らないかって言ってくださってるの。未定だけど展示するとすればそこだと思うわ」
「…どんな服を着せるの」
「んー…レオくんの顔なら古代ギリシャみたいな布かしらね」
「ははっ…裸じゃないなら何でも良いや」
肌着を着てパンツを穿いて制服を着て…白々しい会話はまるで事後の照れ隠しみたいで気恥ずかしい。
けれどシラトリさんは僕を見ずに「さっさと出て行って」とばかりの態度、きっと完成しても連絡はくれないだろう。
「…じゃあ…シラトリさん、……助けてくれてありがとう」
「どういたしまして。こちらこそ、レオくんは優秀なモデルだったわよ」
「どういたしまして…」
「だった」か、これ以降は迫っても雇ってはくれないのかな。
尊厳を傷付けた僕はこのまま許されざる馬鹿なヌードモデルとして彼女の記憶に刻まれるだけなのか。
それとも作品にもしてもらえず、すぐに忘れられてしまうのかもしれない。
きっと寂しがる資格も無い。
けれど生まれて初めて胸を掴まれるみたいに呼吸が窮屈になってスマートに決めた顔面が歪む。
このままサヨナラしたら全てが終わる。
これまでに感じたことの無い息苦しさと腹から湧き上がる熱い何か、どくどくと脈が早打ちになって目頭もじんじんと熱くなる。
「下まで送るわ………どうしたの?」
「…っ…シラトリさん…ごめんなさい、あの…馬鹿なガキで…ごめんなさい、あの、あのっ」
「なに、泣いてるの?落ち着いて、」
「知らないからって…傷付けるようなこと、言って、僕、世の中舐めてた、ガキで、ごめんなさい、」
思い起こす限り10代になってからは初めての号泣だ。
最後にこんな大泣きしたのは小学生の頃にアメリカのおばあちゃんが亡くなった時だったろう。
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