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Capitolo11…Vecchiaia

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「うん、そっか…そう言うと思って、丁重にお断りしてるわよ。言ったでしょう?あなたは私の作品よ、誰にも渡さないわ」

「……っんだよ……もう、意地悪だな」

「ふふ…レオくん、もう出逢って10年ね」

「そうですよ?高3の時からだから…」

 はてこれは仕事が始まりそうにないな。

 先生はさっきから僕のことを『ラッセルくん』ではなく名前で呼んでいる。

 それは就職する前の学生時代までの呼び方だ。

 とすると今のこの時間はプライベートということになり僕がひとり全裸で居ることはとてつもなく場違いでおかしいことだ。

「まだセックス断ちしてるの?」

「してますよ、若い時に遊び過ぎたんだ…あんまりそんな欲が湧かなくなりました」

「あら…ついに完全に枯れちゃったの?」

「まさかぁ……隔日でシコってますよ、先生で。それくらい許されるでしょう…先生で興奮しますよ、でも今は尊敬とかそっちの方が大きいから…このまま枯れていっても別に良いかなって思ってますよ」


 精気溢れる10代とは訳が違う。

 もう27だし少しは大人の色気も出てきたんじゃないかと自負している。

 けれど相変わらず先生は性対象だし女性として扱える。

 仕事中はそこにフィルターをかましているだけで持ち帰った余韻を就寝前にこっそり消費するくらい責められる謂れは無いだろう。

 ひどく我慢している訳でもない、僕が大人になって分別がつくようになっただけだ。

 シラトリさんは今でもレディーだし僕にとって過去最高に好みの女性だ。

 まぁ半分は反骨精神というか意地みたいなものだけど、普通ではできない経験をさせてもらえて充実した日々を過ごせているから感謝もしている。

 だから総合的に見て「好き」なんだ、すごくシンプルだけど敬意も含めてのそんな感情だ。


「そう…まだ熟女が好き?」

「先生が、好きなんですよ…もう、勃ってきたじゃん…待って下さい、鎮めるから…ふー…」

「そのままで良いわよ」

「え、ついに露骨な猥褻わいせつ物作家になるんですか?」

「ならないわよ、捕まっちゃう」

まんまと勃起したチョロい僕を笑った彼女は、クリーム色のブラウスのボタンに手を掛けて上から順に外していく。

 裾をスカートから引き抜いて開けば初めて見る白い肌が眩しくて、そこに刻まれた緩いシワとそれを覆い隠すように巻かれたガードルショーツや補正下着がやはり年齢を感じさせる。

 それ自体は他のお姉さまと遊んでる時に何度もまみえたことはあるのだ。

 けれど襟付きの服以外のシラトリさんを見たことが無かったから新鮮で胸がどきんと高鳴った。


「せんせ、」

「52のオバサンでも勃つのね」

「…へきだから無問題……いや、先生、」

 彼女はヘソまであるガードルをバツが悪そうにスカートの腰の下へと折り込んで、ゆらり僕に近付き膝の上に腰掛ける。

 何度も触りたいと思って諦めた形の良いお尻、弾力はそれほど無いし座られてもあまりに軽くて不安になってしまう。

朱鷺子ときこよ、シラトリでも良いけど」

「じゃあシラトリさん……やっぱり痩せましたね」


 やはりどこか悪いのか。

 別れの挨拶でセックスするなんて嫌だと抱き締める手を出せずにいると、

「…ついにね、閉経、しちゃったの…頃合いよね、…でもちょっとショックだった」

と彼女はゆっくり呟いて僕の首に肉の落ちた腕を絡ませた。
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