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Capitolo1…Cigno
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しおりを挟む「広い学校だなー」
敷地はここらの大学でも一番広いと聞いている。
折角だから他の学部も見ておこうと構内をうろうろと歩き回った。
僕は現時点で進路に関しては詳しくは想定していなくて、何となく親の洋食店を継げたら楽かなーとかビジュアルを売りにした職業でも良いかなーなんて舐めた考えでいる。
定期的にある進路調査では近隣の大学名を書いたりしているけどあまり本気じゃない。
担任もなんとなく察しているのかこの前は提出しただけでも「偉い」と褒めてくれた。
「(…ここは…教職員室、か)」
まるで市庁ビルみたいな建物は事務室と教授たちの個室が集まる事務棟、事務室カウンター隣接のエレベーター横壁には学部・学科ごとに教授名と部屋番号の一覧が貼られている。
名だたる教授とかは知らないけど就職率の高さがこの大学の売りだそうで、無難と言えば無難な学部ばかり揃っている。
僕はその中に唯一というか異色な『デザインモデリング学科』の文字に目を引かれた。
「designをmodeling…」
僕でもこれまでに発生したことのない言葉だった、おそらく芸術系の分野なのだろう。
それとも住空間を整えたりする科目なのかな、ふーんと廊下伝いに建物を巡り来てはみたものの特にすることも無し。
食堂ももう営業は終わっているし割烹着のお姉さまたちも撤収していることだろう。
「…さて……ふー、」
僕は正直暑さに弱い。
この体に白人の血が流れていることに関係があると思うのだけど、肌もそうだし気温が上がってくると眉間の奥がクラクラして気分が悪くなる。
基本はインドアだし出かける時は帽子を被るようにはしてるけど、制服では着帽が禁止されているしミスマッチなので今日も持っては来なかった。
男の日傘がもうちょっとメジャーになってくれればなぁなんて思う。
でも弱っちい奴だと思われたくないから登下校中はなるべく影を探して歩いている。
「降りて喫茶店とか……ぁ…」
ちょっと今日は動き過ぎたな、これでもセックスの体力には自信があるんだけど単純な運動には僕の体は向いてないらしい。
階段を踏もうとした脚がもつれて肩がぐらつく。
おっとっとと後退ると踊り場の壁に背中をぶつけてしまった。
「いってぇ…」
誰も居ないから助かった。
ここは展示などは行われてない棟なのだろう渡り廊下としての役割がほとんどのようだ。
空き教室を見つけて入るでも良いけどもう疲れた、踊り場の隅に寄ってしゃがみ込みしばし休憩しようと腰を下ろした。
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