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しおりを挟む俺たちが年相応に課題の話なんかをしていると、電車は一駅目で停車した。
ホームには高校生がわらわら、ここは近くの共学校の最寄駅なのだ。
俺たちには珍しい女子高生、有り難みこそ感じないが短いスカートには若さが溢れていて良いと思う。
「結構乗って来るな、中に寄ろうか」
「そだね」
車内は長椅子に空きがあるくらいの人入りだが、女子高生と近くに居たい理由も無い。
ドア横から奥へ移動していると、コツコツとローファーの靴音が近付いて、いや追い掛けて来る。
車両を移動でもするのかと吊り革に身を預けて端に避けたら、
「阿久津じゃん。この前ぶり」
と1人の女子高生が春翔に声を掛けた。
「あ…うん。久しぶり」
春翔は浮かない顔で、いかにイケメンと言えども憂いが表れている。
女子高生はそんな春翔の態度に構わず、ニタニタと嫌な笑みで続ける。
「ねー、男子校はどう?彼氏できたぁ?」
「……」
「そっちに仲良い子いるからさぁ、噂も流れてるっしょ?阿久津がホモだって」
「…だいぶ、尾鰭が付いて俺の耳に届いてる。お前か」
「ねぇー、止めてあげようかぁ?条件はあるけど」
語尾に草を生やしてそうな口ぶりに嫌気がさす。
どうやらコイツが、春翔の噂を吹聴し始めた犯人らしい。
しかも最初はどうやら「阿久津はホモらしい」というものだったみたいだ。
それが人から人へ伝わるごとにそいつらの想像なんかも足されて盛られて、「阿久津はフェラチオが上手いらしい」に育ってしまったようだ。
一体どれだけの人を介したのだろう、この女が言うように「止める」ことが可能なのだろうか。
「(イヤな女)」
顔は整っている方なのだろうが、意地の悪さを表情とオーラで感じる。
女は俺の方もチラチラと見て、春翔の様子を窺っている。
俺は友人だと思われているだろうか、春翔との距離感は間違えていないはずだ。
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