二人の密会は、ゴシップの証明

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「春翔、待てよ」

靴箱で追い付いたが、周りにまだ生徒がいるため言い合いは出来そうにない。

　春翔は「つーん」と効果音が付きそうな面持ちで、それでも俺が靴に履き替えるのを待ってくれた。


「…春翔、怒ってる？」

昨日と同じ帰り道、俺は春翔の後ろを揉み手しながらついて行く。

　なかなかに俺を振り回す奴だな、面倒な奴だ。

「（俺が振り回されてるだけか？好きだから気にしちゃうだけで…）」

「…俺はさ、」

「う、うん？」

「神と触れ合いたくて、変な誘い方になっちゃったけど…ラブタイムってこういうもんなんじゃないの？頼むとか損得じゃなくて…自然にできたら良いけどさ、昨日の今日だし…」

「うん」

「さ、盛さかってるって思われたくないけど、仕方ないだろ、俺、神のこと好きだし、神がバスケで触ったのが最初なんだから…ムラムラした気分の責任、取ってくれたって良いだろ、付き合ってくれたって良いだろ！い、一方的なことにすんなよ、俺の片想いみたいにすんな！あと、まず礼を言えよ！」

「ごめんて、落ち着け…」

　こういう春翔ファーストじゃないところも嫌なのか、春翔の表情は晴れない。

　昨日は商店街へ迂回したが今日は真っ直ぐ、駅への最短ルートをさくさく歩いて行く。

「なんだよ…マジ、失礼な奴…」

「分かったって、春翔…拗ねんな…そうだ、俺もスるから、春翔の、サせてくれよ」

周りの手前、声は小さくなるが、その分春翔の耳元近くで囁くように告げる。

　そうすれば春翔はバッと離れて、しかし耳まで真っ赤になっていた。