二人の密会は、ゴシップの証明

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　改札を抜けてホームへ上がり、自宅方面行きの電車を待つ。

　俺も阿久津も下り線で５駅は先だ。

　そこまで乗れば、同じ学校の奴も少なくなる。

　話をするならその辺りで下車するのが良いかなと考えた。

　定刻通り電車が入線して、俺たちは順番に乗り込みドア横に立つ。


「…なぁ、話は戻るけど、芝塚ってソッチ？」

諦めていない阿久津は、文字は伏せるから良しと思ったのか普通の声量で問う。

「…そーだよ、文句あるか」

あら不思議、周りに人が居るというのに俺は平然と告白できた。

　具体的な文言を出してないから恥ずかしくないし、客観的に自分を語っているような気分だった。

「文句は無いよ。俺だって、そうなんだし」

「…そーか」


　阿久津の告白を聞いて、パァッと霧が晴れていくような感覚になる。

　そうか、俺たちは趣向は合ってる訳だ。

　なら恋愛に発展する可能性がグンと上がった訳だ。

　ようやくスタート位置に立ったんだな、それは喜ばしいがふたつ目の懸念が残っている。

「（フェラ、上手って…確かめるとか言ってたよな？あれ、俺にシてくれるってこと…だよな？そんな…体から始まる関係で良いのか？）」

　なんせ恋愛経験が無いもんだから、初めてのそれは純愛が望ましかった。

　ならば俺の噂を問い質す行動は下衆極まりないのだが…コイツの唇に当てられて口が滑ったのだから仕方ない。

「んで、俺がさっき言ったこと、どう？試してみない？」

座席の脇の銀色の手摺りを握って、阿久津は首を傾げる。

　そんな安直で下手な色仕掛けなんて、と思うが手と唇が同じ画角に収まると不埒な考えが脳を過ぎる。