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しおりを挟む「阿久津、」
「なーにワタワタしてんだよ、芝塚が言い出しっぺのくせに…あはは」
「…悪かったよ」
どうせガセなんだろう、唐突にエロ話をぶっ込むヤバい奴扱いされたくない。
童貞ガキらしく赤面して、別の話にすり替えようと画策するも、
「なぁ」
阿久津は俺の肩にポンと手を置いてグッと引き寄せた。
「うわ」
「…芝塚が聞いたのは、俺がフェラが上手い、って話なんじゃないの?」
「あ、」
至近距離でその単語を聞いて、耳が熱くなる。
本当なのか、真偽を教えてくれるのか。
だからどうするって、今は分からないが、胸がばくばくと早鐘を打つ。
否定も肯定もせず正解発表を待っていると、
「嘘だよ」
阿久津はそう言って、俺から手を離した。
「う、嘘?あ、そーなの、」
「うん。中学の同級生の女子が流してるんだと思う。この前再会して告られたんだ。でも振っちゃったからさ、悔し紛れなのかな?俺の悪評を流そうとしたみたい…それが地元の同中の奴らを伝って、うちの高校でも流れ始めたみたいだね」
「…迷惑な…話だな、いや、ごめん、興味本位で…」
「良いよ、もう何人も同じこと聞かれた」
そうか、だから俺の思考を読んだみたいに先回り出来たのか。
でもそれを今日、俺に告げることに意味はあるのか。
「違うよ」と弁解したかったのか、口止めでもしたかったのか。
「…そっか、そーだよな」
誤った情報を流されるということは、阿久津はノーマルなのだろう。
同性愛者だと言いふらすことで阿久津に不利益が及ぶとの目論見に違いない。
発信源の女子は阿久津を困らせようと策を練ったのだろうし。
自分を振った男はゲイだ、だから相手にされなかったんだ、と思うことで自分を慰める意味もあったのかもしれない。
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