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ステージ13
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しおりを挟むモヤモヤ、ムカムカ、帰宅して晩ご飯を食べていると申し合わせたように里香ちゃんから電話が入った。
「もしもし、リカちゃん?ちょうど良かった、声聞きたいと思ってたんだ」
『岳美くん、浮気してない?』
「え、」
開口一番になんてことを、もしかして里香ちゃんはエスパーなのか。
背中にぞわぞわと茶頭さんの感触が蘇る。
「なにいきなり?してないよ。するわけないじゃん」
『公衆電話からさっき掛かってきたの。岳美くんが浮気してますよってそれだけ言ってガチャ切り。女の人の声で…』
「は?リカちゃんのケータイに?」
『うん……あの……してない、よね?』
語気が弱まって悲壮感が電波に乗ってこちらまで届く。
泣きそうな里香ちゃんを想像すれば僕も眉間にシワが寄った。
「しない、断言してもいい。寂しいのは確かだけど、それを浮気で解消するほど落ちぶれちゃいないよ」
『じゃあさっきの電話、なんなんだろ…嫌がらせ?』
「……繰り返し来るようだったらまた教えて、公衆電話からの着信は拒否していい。僕は…そうだな、必要なら勤務表と残業実績と…通話記録でもなんでも提示していい。神様と仏様に誓って不義理はしない、絶対だよ」
元々連絡も密にしているつもりだけど、こうして離れていれば顔色も分からないし簡単に騙し通せたりするだろう。
僕は浮気なんてするつもりはさらさら無いけれど、妻にバレずに不貞が可能か不可能かと聞かれればそれは前者だと思うのだ。
いや、しないけれど。
『うん…そうだよね、疑ってごめんなさい』
「いや、会えないからそりゃ不安だよね」
『不安というか、こっちは働きながら子育ても保育園のことも全部してるのに女遊びしてるんなら腹立つなぁって…瞬間的にカッとなっちゃって…ごめん』
「…ヤキモチじゃなくて?」
『うん…ごめん、私も疲れてるのかも』
「いいよ、そうだね…お義父さんもお義母さんも任せっきりで申し訳ないな…どこかでまた連休取って帰るから…愛してるよ、リカちゃん」
『うん…私も、岳美くん、愛してる』
「…じゃあね、おやすみ」
『おやすみ』
電話だと素直でいいな、僕はそんなことを思い晩ご飯を平らげる。
電話の主が気になるところだが、今日のこのタイミングで掛けてくるあたり…もしかして茶頭さんかな、なんて不穏なことを考えないでもない。
しかし彼女が里香ちゃんの電話番号を知っているはずはない。
店舗どころか名前だって知らないだろうし…謎は謎として、僕は気持ち悪いまま就寝した。
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