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ステージ3
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しおりを挟むまたまた時は過ぎて勤続3年目の秋。
ある日この辺りの地域を統括する人事のエリアマネージャー・嬉野さんが巡店して来て僕は面談をさせられた。
「宮前くんね、ゆくゆくは管理職になりたい?」
「は、はい!それを目標に頑張ってます‼︎」
「お、熱意があっていいね。うん、僕らって幹部とか指導者になれそうな社員は売り上げとかデータで大体目星つけてね、実際の仕事ぶりとか見るんだけど…君賢いだろ、販売でも伸びそうだけど…管理側も向いてると思うんだよね」
それはそうだ、僕の業務スタイルは売り上げを重視して無駄を削ぎ落とした効率特化型、データに一番反映される働き方なのだ。
そして参考にしたのは実際の上司たち、理論よりも実務をとことん盗んで吸収している。
「コーナー長ってことですかね」
「ううん、本社で運営の方を学ぶの。現場が好きなら昇進って手もあるけど」
それは思わぬ提案だった。
本社勤務はキャリア組のエリート、店舗での営業と比べれば格段の出世である。
泉さんを通り越して本社から認められるなんて…身に余る光栄だが、僕が望むのはそちらではなかった。
「……ぼ、僕、昇進したいんです。そのために入社からいろんな上司の方を参考にして売り上げを稼いで…してきたんです、人を…ある人を超えたくて…」
と正直に伝えると嬉野さんは思いの外柔軟だった。
「んー……ならコーナー長からだね、でも今の店舗だと上が詰まってるから……甕倉北店とかどう?あそこは中規模だからコーナー長は置いてないんだけど、コーナー長相当ってことでキャリアは積ませてあげられるよ」
「…転勤か…」
「実績作って、今の本店にフロア長として返り咲くとか…どうだろう?」
「…何年くらいかかるでしょうか?」
「リミットがあるの?どれくらいが限度?」
「…その人と結婚して…子供も望んでるので…5年以内には」
「あ、恋愛絡みなんだ?そっかー…宮前くんなら充分行けると思うけどな」
「………やります、行かせてください!」
「うんうん、頑張りなさい」
後で聞いたことだがこの嬉野さんは僕の出身大学のOBだったらしい。
だからこそ融通を利かせてくれたのかな…とその時はそういうことだと捉えた。
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