つまりは君は僕のモチベーションなわけで

茜琉ぴーたん

文字の大きさ
上 下
10 / 67
ステージ3

10

しおりを挟む

 またまた時は過ぎて勤続3年目の秋。

 ある日この辺りの地域を統括する人事のエリアマネージャー・嬉野うれしのさんが巡店して来て僕は面談をさせられた。


宮前みやまえくんね、ゆくゆくは管理職になりたい?」

「は、はい!それを目標に頑張ってます‼︎」

「お、熱意があっていいね。うん、僕らって幹部とか指導者になれそうな社員は売り上げとかデータで大体目星つけてね、実際の仕事ぶりとか見るんだけど…君賢いだろ、販売でも伸びそうだけど…管理側も向いてると思うんだよね」

 それはそうだ、僕の業務スタイルは売り上げを重視して無駄を削ぎ落とした効率特化型、データに一番反映される働き方なのだ。

 そして参考にしたのは実際の上司たち、理論よりも実務をとことん盗んで吸収している。

「コーナー長ってことですかね」

「ううん、本社で運営の方を学ぶの。現場が好きなら昇進って手もあるけど」

 それは思わぬ提案だった。

 本社勤務はキャリア組のエリート、店舗での営業と比べれば格段の出世である。

 いずみさんを通り越して本社から認められるなんて…身に余る光栄だが、僕が望むのはそちらではなかった。

「……ぼ、僕、昇進したいんです。そのために入社からいろんな上司の方を参考にして売り上げを稼いで…してきたんです、人を…ある人を超えたくて…」

と正直に伝えると嬉野さんは思いの外柔軟だった。

「んー……ならコーナー長からだね、でも今の店舗だと上が詰まってるから……甕倉カメクラ北店とかどう?あそこは中規模だからコーナー長は置いてないんだけど、コーナー長相当ってことでキャリアは積ませてあげられるよ」

「…転勤か…」

「実績作って、今の本店にフロア長として返り咲くとか…どうだろう?」

「…何年くらいかかるでしょうか?」

「リミットがあるの?どれくらいが限度?」

「…その人と結婚して…子供も望んでるので…5年以内には」

「あ、恋愛絡みなんだ?そっかー…宮前くんなら充分行けると思うけどな」

「………やります、行かせてください!」

「うんうん、頑張りなさい」


 後で聞いたことだがこの嬉野さんは僕の出身大学のOBだったらしい。

 だからこそ融通を利かせてくれたのかな…とその時はそういうことだと捉えた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

秘事

詩織
恋愛
妻が何か隠し事をしている感じがし、調べるようになった。 そしてその結果は...

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

処理中です...