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プロローグ・鬼嫁ちゃんと僕
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しおりを挟む「岳美くん、私もう、アラフォーなんだけど…」
息を整えた彼女はバツが悪そうに天井のウォールステッカーを見つめる。
これは子供がもっと小さい頃に飾り立てた名残で、小学生になった彼らはもうそれぞれ自分の部屋を持ち寝室を別にさせている。
「知ってるよ、同級生だし…だから?」
「いや…あんまりエッチってしなくなるんじゃないのかな?Tバックとかもみっともないし…」
「はぁ?僕以外の人に見せる予定でもあるの、ないでしょう?僕が20歳そこそこならアラフォーのリカちゃんにはそりゃ欲情しにくいだろうよ、でも10代からずっと見てきて僕も歳とって、まだまだ反応すんだから。僕の前では婆さんになってもリカちゃんは可愛いリカちゃんなんだから」
これは本当で、人間は誰しも還暦を迎えたからといって急にお婆さんになるわけではないし、成人式を迎えたからといって突然大人になるわけではない。
その日を境に着る服の趣味や化粧を変えるなんてしなくていいし、遠慮もすることない。
歩んできた歴史があって今の自分がある、僕の妻はある日突然37歳のおばさんになったわけではないのだ。
「…はぁ…」
「可愛いよ、垂れてきたおっぱいも」
「…んー」
「腹筋してんだろ?ここも二の腕も弛んでない」
「うん…」
「二人産んでもま◯こはキツいし」
「………何言ってんの…」
太腿の間に手を挟もうとした僕の方を嫌そうに睨み、しかし彼女は呆れてその手を指を受け入れてくれた。
「早く…もっと年取って閉経しねぇかなぁ、思う存分ナマで中出ししてやりたい」
「…やだ、」
「死ぬまでリカちゃん抱きたいわ」
「うーん…」
「こんだけラブラブなんだよ、いいことじゃんか。表では鬼嫁だの言われてもね、うちじゃあこんな可愛い嫁さんだ。僕は幸せだよ♡」
「鬼嫁…」
対外的な彼女の評価は『鬼嫁』、実はこれはなかなか便利ではある。
今の時代、亭主関白を前面に出すよりも嫁の尻に敷かれているくらいが好感度が高い。
嫁を理由にすることで家庭的なパパを演出することができるのだ。
もちろん僕は出来る限り子育てには参加しているしオムツ替えの要領も予備のお尻拭きがどこに保管してあるかも把握していた。
子供が幼児でなくなった今だって休みを合わせて平日の学校行事には参加している。
僕が特に便利だと思ったのは何かを断る時で、飲み会も「妻が待ってるから」で済むし付き合いのゴルフも「嫁が…」で辞退をして余計な出費を抑えてきている。
浮いたお金はもちろん家族に還元、言う度に妻の鬼度が上がってきている気はするけど、彼女自身がツンツンした振る舞いをするのだから周囲も不自然には思わないのだ。
「気になるなら対応を柔らかくなさいな…」
「うん…」
もちろんレジの上長や同部門のメンバーは彼女が無意味にツンケンしているなんて思ってはいない。
それどころか、売り場への不満や改善希望を彼女が代表して物申してくれるのでむしろ助かっているらしい。
「まぁ今日の彼もね、硬筆書写とか始めてるんだよ、通信で」
「え、そうなの⁉︎わざわざ⁉︎」
「そうだよ、少しずつね、上達してる」
「…なら、そう言ってくれれば良かったのに」
「練習してますって言っても、『でも汚い』って返されるだろうし…みんなね、色々してるんだよ、成長度合いもそれぞれ、分かってあげて」
「うん…厳しく言い過ぎちゃった…」
しゅんとする彼女も大好物、ぐらぐらと滾る気持ちを抑えて僕は2枚目のスキンを開封した。
つづく
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