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10章…僕の可愛い秘書
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しおりを挟むそして県議会議員としての勤めが始まり約9ヶ月…3月の私の誕生日は彼のマンションにてお祝いさせてもらった。
「おめでとう、26歳か」
「はい、まだまだ若輩でございますが…よろしくお願いします」
和臣さんは横浜市内のオートロック完備の賃貸マンションに部屋を借りており、私以外の秘書は所帯持ちだったためにファミリータイプの別の物件に別れて住んでいる。
もちろん秘書だからといって同じ所に住まなくても良いのだが、和臣さんの「嫁入り前のお嬢さんに何かあると危ないから」のゴリ押しで私も彼と同じマンションの階違いに部屋を借りさせられた。
なので同じマンションから一緒に出勤し和臣さんの業務終わりに揃って帰るというほぼべったり状態、先輩秘書も何か思うことがあるようだが深くは追求されていない。
「聖良、これを…プレゼントだ」
「まぁ、恐れ入ります」
「開けてみてくれ」
「はい、失礼します………わ、キレイ…なんでしょう…コンパクト?」
海のようなマジョリカブルーと星のようなブライトゴールド、ステンドグラスの如く敷き詰めた手の平大の長方体。
パウダーファンデーションのコンパクトよりも高さのある箱だった。
「薬とか…サプリメントケースと言うのか、錠剤を分けて入れておくケースだよ。毎晩飲んでいるあれ、食品用のジップに入れてるのが…何というかあまり見た目が良くなかったから…」
「あは…確かに……わぁ…使い勝手が良さそうですわ、ありがとうございます」
パチンと蓋を開ければ中は4等分に区切られていて、それぞれに錠剤を分けておけば取り出す手間が省ける便利なものだった。
しかし
「(ピルはこれには入らないから別で袋を用意しないと…これも割れたら困るしポーチに入れなきゃ…結局それらをまとめる袋が要る…面倒…)」
サプリメントとピルを分けることで用意も片付けも手間がかかる…余計な仕事を増やす和臣さんに少しだけイラつく。
けれど使わねば意に反することになるから活用せねばなるまい。
まぁ小分けにしてハンドバッグに入れる手立ても欲しかったのでちょうど良いのか。
「もうすぐ鳴るだろ?」
「あ、そうですわね」
『ピヨピヨ…ピヨピヨ…』
時間通り投薬アラームが鳴ったので私は薬袋を取り出して、
「家で移し替えしますわね」
と水でひとつひとつ飲み込んだ。
「天面の細工は螺鈿…貝殻を使った伝統技法だよ、所々白いのがそうだ」
「素敵ですわ…嬉しい、ありがとうございます」
「薬を飲む度に、僕を思い出してくれ」
「まぁ…そうですわね」
自宅で飲む時は元々の袋から出すだろうが和臣さんの前ではケースを使うようにしよう。
しかし持ち物でマーキングするなんて可愛らしいところもあるのだなと改めてきゅんとなる。
ところでお見合いに関してだがやっと話が進みそうらしい、ご隠居から「表向きはドライに接するように」とのお達しが出ている。
同じマンションに住んでいながらドライも何もあるまいに…私はお見合いがどう転んでも和臣さんの性欲の捌け口になるだけ、彼にとっては私が最愛らしいがこれまでと変わらず関係を持ち続けるだけだ。
「あー、聖良、どうだ、気持ち良いか?」
「はいッ…もぉッ、イき、そ、あ、」
「聖良、きよらァ♡出す、プレゼントだッ」
「らめれす、和臣さまぁ♡♡♡」
「出すぞ、きよらッ♡なァっ!ん、んー♡♡♡」
誕生日の夜もそれなりに熱く荒々しく、和臣さんはたっぷりと私の臍に種付けをして豪快に果てた。
つづく
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