上 下
55 / 85
10章…僕の可愛い秘書

55

しおりを挟む

 そして県議会議員としての勤めが始まり約9ヶ月…3月の私の誕生日は彼のマンションにてお祝いさせてもらった。


「おめでとう、26歳か」

「はい、まだまだ若輩でございますが…よろしくお願いします」

 和臣さんは横浜市内のオートロック完備の賃貸マンションに部屋を借りており、私以外の秘書は所帯持ちだったためにファミリータイプの別の物件に別れて住んでいる。

 もちろん秘書だからといって同じ所に住まなくても良いのだが、和臣さんの「嫁入り前のお嬢さんに何かあると危ないから」のゴリ押しで私も彼と同じマンションの階違いに部屋を借りさせられた。

 なので同じマンションから一緒に出勤し和臣さんの業務終わりに揃って帰るというほぼべったり状態、先輩秘書も何か思うことがあるようだが深くは追求されていない。


「聖良、これを…プレゼントだ」

「まぁ、恐れ入ります」

「開けてみてくれ」

「はい、失礼します………わ、キレイ…なんでしょう…コンパクト?」


 海のようなマジョリカブルーと星のようなブライトゴールド、ステンドグラスの如く敷き詰めた手の平大の長方体。

 パウダーファンデーションのコンパクトよりも高さのある箱だった。

「薬とか…サプリメントケースと言うのか、錠剤を分けて入れておくケースだよ。毎晩飲んでいるあれ、食品用のジップに入れてるのが…何というかあまり見た目が良くなかったから…」

「あは…確かに……わぁ…使い勝手が良さそうですわ、ありがとうございます」

パチンと蓋を開ければ中は4等分に区切られていて、それぞれに錠剤を分けておけば取り出す手間が省ける便利なものだった。

 しかし

「(ピルはこれには入らないから別で袋を用意しないと…これも割れたら困るしポーチに入れなきゃ…結局それらをまとめる袋が要る…面倒…)」

サプリメントとピルを分けることで用意も片付けも手間がかかる…余計な仕事を増やす和臣さんに少しだけイラつく。

 けれど使わねば意に反することになるから活用せねばなるまい。

 まぁ小分けにしてハンドバッグに入れる手立ても欲しかったのでちょうど良いのか。


「もうすぐ鳴るだろ?」

「あ、そうですわね」

『ピヨピヨ…ピヨピヨ…』

 時間通り投薬アラームが鳴ったので私は薬袋を取り出して、

「家で移し替えしますわね」

と水でひとつひとつ飲み込んだ。


「天面の細工は螺鈿らでん…貝殻を使った伝統技法だよ、所々白いのがそうだ」

「素敵ですわ…嬉しい、ありがとうございます」

「薬を飲む度に、僕を思い出してくれ」

「まぁ…そうですわね」

 自宅で飲む時は元々の袋から出すだろうが和臣さんの前ではケースを使うようにしよう。

 しかし持ち物でマーキングするなんて可愛らしいところもあるのだなと改めてきゅんとなる。


 ところでお見合いに関してだがやっと話が進みそうらしい、ご隠居から「表向きはドライに接するように」とのお達しが出ている。

 同じマンションに住んでいながらドライも何もあるまいに…私はお見合いがどう転んでも和臣さんの性欲のけ口になるだけ、彼にとっては私が最愛らしいがこれまでと変わらず関係を持ち続けるだけだ。


「あー、聖良、どうだ、気持ち良いか?」

「はいッ…もぉッ、イき、そ、あ、」

「聖良、きよらァ♡出す、プレゼントだッ」

「らめれす、和臣さまぁ♡♡♡」

「出すぞ、きよらッ♡なァっ!ん、んー♡♡♡」


 誕生日の夜もそれなりに熱く荒々しく、和臣さんはたっぷりと私のへそに種付けをして豪快に果てた。



つづく
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。

矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。 女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。 取って付けたようなバレンタインネタあり。 カクヨムでも同内容で公開しています。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

壁の薄いアパートで、隣の部屋から喘ぎ声がする

サドラ
恋愛
最近付き合い始めた彼女とアパートにいる主人公。しかし、隣の部屋からの喘ぎ声が壁が薄いせいで聞こえてくる。そのせいで欲情が刺激された両者はー

やさしい幼馴染は豹変する。

春密まつり
恋愛
マンションの隣の部屋の喘ぎ声に悩まされている紗江。 そのせいで転職1日目なのに眠くてたまらない。 なんとか遅刻せず会社に着いて挨拶を済ませると、なんと昔大好きだった幼馴染と再会した。 けれど、王子様みたいだった彼は昔の彼とは違っていてーー ▼全6話 ▼ムーンライト、pixiv、エブリスタにも投稿しています

美少女幼馴染が火照って喘いでいる

サドラ
恋愛
高校生の主人公。ある日、風でも引いてそうな幼馴染の姿を見るがその後、彼女の家から変な喘ぎ声が聞こえてくるー

処理中です...