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12章…血統の価値
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しおりを挟む新しい写真が届く度に凛々しく優しそうな姿に仄かに無いはずの心がときめいていた。
その気持ちが『恋』だったのなら私は遥か昔から和臣さんに惚れていたというのか。
どんな声なのか、どんな風に笑うのか、学校ではどんな様子なのか。
制服の下はどんな体をしているのか、どんな顔で女性を抱くのだろうか、私にもその顔を見せてくれるのだろうか、私のことを気に入ってくれるだろうか。
生活の中心に居た和臣さんの存在は片想いの相手だったのか。
ほんのり桃色の気分になっては性技の手解きで荒む心、私は心が無かったのではなく傷を付けたくなくて隠してしまっていただけだったのか。
「作られたのだろうが何だって良いさ、今の君は僕にフィットした最適な女性だ…この前ふと思い出したんだ、昔、高校生の頃だったか…じいちゃんが言ったんだ、珍しくべろべろに酔った拍子に…『和臣にはワシが良い女を連れて来てやる。とびきり上等の女をな、年頃になるまで身を崩さず待っていなさい』とかなんとか…今思えば…それが聖良と契約をした頃だったのかな」
「そう…かもしれません」
「頼めば何でも与えてくれる人だったからね、ピュアな僕はそれを信じて恋愛もせず待ったぞ、さすがに20を超えたらジジイの戯言だったと気付いて童貞であることに焦ってしまったが…学業だ就職だ仕事だと慌ただしくしているうちに25歳、聖良がうちに来た」
「……」
「僕も君に出逢うために操を守ったんだ…聖良のためにとっておいた、そう考えればどうだ…お互いがお互いを待っていたんだ、運命的じゃないか」
もうそういうことにしてしまおうか、温かい涙が目尻から耳のふちへと伝って枕を濡らす。
弱っているところに垂らされた救いの糸、曇天を貫く一筋の光。
ウジウジ悩むこと自体がもう面倒で、眠気も湧いてきて妥協に近い気持ちでその選択肢を採用しようとする。
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