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8章…無かったことに
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しおりを挟むもう致し方ない、こんな誠実な人に隠し立てしながら作戦を進めるなんて無理な話だったのだ。
話せる範囲で作戦をバラして同情を引く方向で行く。
貴方が愛した天使はもう居ませんの、仮初の心を鬼にして努めてドライに振る舞った。
「はい、お慰みのお手伝いをして、鬱憤ですとか邪念を払ってお仕事に専念していただくための…愛玩具とでも言いましょうか」
「何を…言ってるんだ」
「そのような契約なんです、ご隠居さまがご契約下さり…私は参りました。ですから、和臣さまが議員になって下さらないと私の身も危ういんですの」
「…下りて、説明してくれ」
「嫌ですわ」
「……」
腰の動きは絶やさず妖しげに笑むことも忘れず、ぐりぐりと擦り付ければあっという間に下着が愛液を吸ってギシギシと摩擦を生む。
「ご隠居は和臣さまにも伸夫先生の後を継いで国会議員になって欲しいんです、親子3代国会議員という名誉を求めておいでなんです」
「それは聞いたことはある、それと聖良の契約とやらに何の関係があるんだ」
「仕事に集中していただくためですわ。色恋にうつつを抜かしていては他に出し抜かれる、けれど男性として自信を付けることで頼りがいですとか覇気を帯びて頼もしく感じることも事実、立派な議員になって欲しいとそういう願いですわ」
我ながら説明していて時代錯誤だなと思っている。
けれどご隠居の望みの整合性なんてどうでも良いのだ、買い手がそう望めば商品はその形に合わせるものなのだ。
聞いたところによると、ご隠居は若い頃に女遊びなどせず亡くなった奥様はどこぞのご令嬢、夜の生活が淡白で相当に侘しかったらしい。
しかし議員という立場上夜店にも行けず辛かったとかなんとか…自分がそうだからといって子孫もそうとは限らないのだがご隠居なりの心遣いなのだとか。
「余計なお世話だ…すまない、本当に…一旦離れてくれ、ちゃんと話がしたい」
「…逃げません?」
「逃げない、暴力もしないから…男を組み伏すな、情けないから…恥をかかせないでくれ」
「分かりました」
びしゃびしゃのそこを離してシーツの上へ座り直す、和臣さんも股間を隠して顔をゴシゴシ擦ってこれまで聞いた話を思い出そうと頑張っていた。
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