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5章…大願成就の第一歩
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しおりを挟むあれから時を進めること1年。
微妙な遠距離ながら交際を続けた私達は今日は横浜にてデートをしていた。
「わ…海風が強いですね」
「うん、すまない、髪が崩れるね…そこまで考えが及ばなかった」
「大丈夫ですわ、わぁ…きっと夜景もキレイでしょうね?」
「うん、うん…」
和臣さんは無邪気にはしゃぐ私を見て、何かを呑み込み唇を噛み込む。
「(…緊張してらっしゃる…)」
実はこのデート日程を決めるにあたり、「泊まりだがどうか」との事前打診を受けていた。
それはつまりそういうことだ。
私は待ってましたとばかりに喜んだが携帯電話のマイク部分を指で押さえて、一旦呼吸を整えてから「楽しみにしております」と返事した。
今夜見せてくれる横浜の夜景はこの沿岸のホテルの部屋からになるだろう。
和臣さんはそんなことを想像して言葉を呑み込んだのではなかろうか。
「昼飯、食べようか」
「そうですね」
ジャケットの腕に自然にしがみ付いてぴたと寄り添う、「私は貴方に帯同されております」と意識していただく。
これまでのデートはほとんど神奈川県内、映画だったり動植物園だったりとスタンダードなものだった。
交際開始から半年経って茅ヶ崎でキスをした。
これも和臣さんの方からしてもらえるように思わせぶりな仕草を重ねてやっと踏み切らせたという作為的なものだ。
さて上手く運べるかしら、それともエッチなことに関しては男性の方が上手かしら。
このまま私に男を見せて下さいませ、まぁそうさせるようサポートするのが私の役目なのだけど。
腕に胸を押し付ければ明らかに動揺する和臣さんをニラニラ眺めつつ、ランチを求めて商業ビルへと入った。
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