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「直樹、顔色悪い」

「…逆光だからだろ……初正常位だな…VRで観た景色」

「ナニソレ」

「…主観モノAV…いや、マジ素人童貞で申し訳ないわ」

「いいよ、頑張ろ、」

 目線を外してスキンを準備する、何を隠そう長岡は女性の前で自分で装着するのはこれが初めてであった。

「ッ…あ、破れた」

「落ち着いて…」

「くそが……んなことも満足にできねぇのか俺は…」

切ったはずの爪が引っかかりラテックスがただの輪っかと化す。

 男は大きく舌打ちをしてそれを床に投げつける。

「直樹、卑屈になんないで、」

「ふー…ごめん、萎えそう」

「いいよ…あ、私着けようか」

「…できんの?」

「したことはあるよ、要領は…なに、ダメ?」

 うっすら汗の滲む長岡は起き上がろうとする遥を組み敷いて今一度見下ろし、

「こりゃ嫉妬だな…燃えてきた」

と2枚目のスキンへ手を伸ばした。

「え、うん?良かった…」

「ふー……ハルカ、マジで……下手だったら悪い」

「上手下手じゃないよ、深く考えないでよ」

「体力つかな…」

「ダメだったら私が上になるよ、大丈夫」

 慣れてるな、とはいえこれ以上情けない姿は見せたくない。

 みちみちと根元へ向けて薄いゴムを広げていく、やっと整った臨戦態勢で長岡は遥の膝裏に手を掛ける。


「……ん…ハルカ…」

「うん、カモン♡」

「…えっろ………は…どこだ、ここか、」

 長岡はちょん、ちょん、ときっさきで穴を探って滑らせて、遥が

「ここだよ♡」

と拡げてくれたピンクの肉の中へ飛び込んだ。


「あ、あー…ん、ん…ハルカ、あ、」

「ぅんッ♡…あ、あ……あ♡あ、なおッ…あ、」

 そして突き当たりまで進んで恥骨同士が擦れると

「あー……あ、あ、…ここがいっぱい、か、お前…浅いんだな…」

と遥の頬に汗粒をぽたりと落とす。

「直樹が…大っきいんだよッ…あ、あふ♡」

「どこがイイとか、言えよ、分かんねぇからッ!」

「ふゥっ、あ、ひゃんッ♡」

「あー…これ…腰がしんどい、な、」

「ひゃん♡がんばっ、て、ぇ♡」

 自分の力で鳴かせている遥の声は甘くてとろけそうで、それでいてAVや店の嬢とは異なる音色だった。

「かわい…お前、演技じゃねぇだろうなッ」

「しないよ、あ、できな、い、ひャう、」

 これまでの男の前では演技をして可愛こぶっていた遥だが長岡の前では全く無意味、素顔も素性も泣き顔も、ひょっとこ顔も嘔吐する姿さえ既に披露している。

 打てば響く、しかし大袈裟でもなくてタイミングもバッチリで、

「だからッ…簡単に手ぇ出せねぇんだッ…くそ、あ、ハルカっ、んな顔見たら…一緒に、仕事できねぇ、」

と長岡は本音を漏らす。

「どくせん、欲、強いん、だ?」

「くそが…普通、そうだろッ、抱いたら、特別になんだろッ、んあ、かわいいなッ!」

 既に発生した責任、なんだかんだと忌避していたセックスでついに生まれてしまったそれは、彼女への愛おしさに変わって今のこの行為の原動力となっていた。

「あ♡直樹、上手、だお、」

「ハルカッ…あ、あー、ん、ん?」

「あ、それッ、ダメ、な、の、」

「なに、」

「あ、やッ…」

 脚を曲げたり伸ばしたり、膝を折り長岡が胸に抱いて突けば肉襞にくひだの感触が変わりふと硬いところが先端に当たる。

 そしてそこをエラが通過する度に遥は目を剥いて「ひぅ」と鳴き出した。

「ん、なるほど、ん、ここな、ん、また漏らすか?」

「おしっこじゃナイっ、ばか、」

「分かってる、いいんだよな、ん、スポットな、ん、腰が持ち上がってる方がいいのか、どうやったら当たんだ、教えろよ」

「わがンな、いッ、やらッ!」

 分からないのは本当なのだろう。

 良いところを擦られるその度に遥は「なに?」と心底不思議そうな、未知との遭遇の様な顔で長岡を見るのだ。

 そして歯を食い縛り目元を手で隠し、僅かにだが「いやいや」と首を横に振る。
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